人口減少は本当に危機か? 大問題でないと言える「シンプルな理由」

カギとなる格差婚と少子化の関係性
赤川 学 プロフィール

女性下降婚率が高い国では、出生率も高くなる?

今回は、筆者自身が行った格差婚と少子化の関連について、論じ直してみよう。

筆者がほぼ1年前に投稿した「なぜ若者は結婚しないのか?コスパの悪さだけではない『日本の現実』」では、女性の(学歴)下降婚率が高い国では、出生率が高くなる傾向があることを指摘した。

この議論に対しては、女性の高学歴化と社会進出が進んだ社会で、女性が結婚相手を探そうとすれば、自分より社会的地位の低い男性をも選ばざるを得なくなるので、女性下降婚が増えるのではないか、という疑念がありうる。

つまり女性の下降婚率は、女性の社会進出の代替指標に過ぎないと反論できるわけである(実際、そうした意見を複数の方からいただいた)。

これを検証するには、女性の社会進出を表す指標を用意して(15歳以上の女性労働力率が代表的)、女性の社会進出が出生率に与える影響が一定だと仮定しても、女性下降婚率の高い社会で出生率が高くなる傾向があるかどうかを調べればよい。

これを検証するには、重回帰分析という手法を使うことになる。ここでは前回調べた25カ国を対象として、女性下降婚率と、女性労働力率が合計特殊出生率に与える影響を比較した。

この結果をみると、女性労働力率が高くなると出生率は下がる傾向がある(β=-0.354)。このことは、特段おかしな結果ではない。

特筆すべきは、女性労働力率を統制しても(=女性労働力率が一定と仮定しても)、女性下降婚率が高くなると、出生率も高くなる傾向があることである(β=0.419, 統計的に有意)。

 

先の反論に対しては、いちおうデータで再反論できたことになる。この25カ国に関する限り、女性下降婚率が出生率を高める効果は、さらに確定的なものになったといえそうだ。

こうした検証に開かれているところが、社会科学のよいところである。

むろんこういうデータは、世界全体で収集することが理想である。たとえば国連あたりが全加盟国に女性下降婚率や、前節で見たような婚外子の割合の報告を義務づけてくれたら、合計特殊出生率の因果関係も、いまよりずっと容易に検証できるはずだ。

そんな日が来るとありがたいのだが、まぁ初春の夢ということにしておきたい。