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人口減少は本当に危機か? 大問題でないと言える「シンプルな理由」

カギとなる格差婚と少子化の関係性

人口減少危機論のウソ

私ごとで恐縮だが、筆者はセクシュアリティと少子化・人口減少問題を専門としている。専門分野の研究に没頭していると、どうしても他分野には目が届きにくくなる。

そんなとき、信頼できる専門家の存在はありがたい。筆者の場合、文芸評論なら小谷野敦氏、アニメ・映画評論なら岡田斗司夫氏、経済評論なら高橋洋一氏には全幅の信頼を置いている。

そんな中、高橋洋一氏がついに人口減少問題について語った。その名も『未来年表: 人口減少危機論のウソ』(扶桑社新書)。

少子化や人口減少は「国難」ではなく、そこから生じる「弊害」はいかようにも対処可能で、むしろ少子化や人口減少の危機を過剰に煽ることが問題解決を誤らせると、筆者は長年考えてきた。

ゆえに、本書は得心のいく議論ばかりであった。

すでにベストセラーになっているので、内容についてご存じの方がいるかもしれないが、高橋氏の議論に耳を傾けてみよう。

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氏によれば、人口減少問題は「大した問題ではない」(40頁)。

国力を国内総生産(GDP)と定義すると、「GDP=みんなの平均給与✕総人口」となる。

人口が減るとGDPも減るのは当たり前だが、実生活では「だからそれがなんなの?」という話に過ぎない。

なぜなら人口減少は、GDP成長率に対して最大7%の影響がでるかどうかの程度に過ぎず、ほとんど影響はないからだ(50頁)。

 

たとえば人口減少が経済にマイナスに作用する「人口オーナス」は、女性や高齢者の積極登用やAIによる生産性向上によって回避できる(54頁)。

さらに、ひところはやった「デフレは人口減少が原因」説にも根拠がない(むしろデフレは金融緩和で解決できることが、アベノミクスによって実証された)。

そのうえで、出生率の推計や人口減少の動向も「想定内」に収まっており、「まあ人口は減るだろうが、出生率もこれからほとんど横ばいだろうから、社会保障の設計には支障は何もない」(68頁)というのが、高橋氏の考えである。

ここまでは、非の打ち所のない、完璧な人口減少社会論ではなかろうか。