おせち料理の食材として定番のカズノコ。スーパーの生鮮食品売り場でカズノコを見かけたら、生産地を見てみてほしい。そのほとんど、特に高級品は留萌産となっているはずだ。
留萌がどこにあるかと聞かれても、わからない人が多いかもしれないが、日本海に面するこのまちの海岸から見る夕陽は美しく、夕陽を見るためだけに訪れる観光客もいるほどだ。
その絶景の海岸が今、とんでもないことになっているという。留萌の夕陽を撮り続けている写真家が見た、北海道日本海側の海岸の惨状とは――。
僕は、北海道の北部、日本海に面した留萌市に住んでいます。
留萌は、明治から昭和初期にかけてはニシン漁で栄え、昭和30年代までは石炭の積出港として高度成長を支えましたが、石炭産業の衰退とともに人口は減り続け、最盛期には6万人いた人口がいまや2万人となってしまいました。
今でも、カズノコの国内最大の加工地であり、最近、おいしいと評判の特Aランク米「ゆめぴりか」「ななつぼし」の有力産地ですが、まちの衰退にはなかなか歯止めがかからない状態です。
このまちで、最近、とても気がかりなことがあります。日本海沿岸に漂着する木造船のことです。
北海道の北端・稚内市から小樽市へと続く国道は、日本海オロロンラインと呼ばれています。美しい海岸線が有名で、毎年、多くの観光客が訪れます。今年は、その海岸に、外国から流れ着いた多くの木造船が打ち上がりました。
北海道に漂着した木造船は、去年は6隻だったのが、今年は、もう65隻も打ち上がっています。
木造船といっても、長さは10m以上あり、1人や2人で動かせるようなサイズではありません。誰も乗っていない船が打ち上がると、まるで幽霊船のようで、相当気持ちが悪いです。
市役所も対応に追われていますが、財政状況が良好とはいえない北海道の多くの自治体の例に漏れず、1艘100万円以上はかかるといわれている解体撤去費用を捻出できずに困っています。
海上保安庁も沖にある船には手出しができないようです。
夜中に操業する漁師さんたちは、沖に浮遊する木造船に激突するんじゃないかと恐怖を感じながら出航しています。