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「断固として変えない」…習近平が事実上の「政治改革拒絶宣言」

2時間近くの演説の中で…

1987年、北京

薄暗い蛍光灯の下、ガラスケースの中や奥の棚に商品が並んでいる。商品を求める人々は、ケースの後ろにいる店員に次々と声を掛けている。自分も恐る恐る「すいません」と慣れない中国語で声を掛けたが、返事はない。もう一度声を上げて「すいません!」と呼ぶと無愛想な店員がこちらを向いた。「あれがほしい」と商品を指差すと、面倒そうに商品を出し、お金を支払うとお釣りの紙幣をポイと投げてよこした。

1987年、初めて北京を留学で訪れた時、繁華街の国営商店で買い物をしたときの思い出だ。およそサービスとは程遠い対応だったが、ほしい商品が手に入ればいい方だ。

当時、中国に留学した学生の間で流行ったジョークがあった。「中国に来て初めて覚える単語は何か?」というものだ。「你好」「謝謝」「再見」ではない。「没有(メイヨウ)」つまり「ない」だというものだ。確かに商店では「没有」と無愛想に言われることがよくあった。商品があるのに売るのが面倒だと「没有」と言われたという、信じられないような話もあった。

当時、外国の商品は「外貨兌換券」(1990年代前半に廃止)がないと購入できず、外国商品を取り扱っている建国門外の「友誼商店」には、留学した北京大学からはバスを乗り継いで半日がかりの旅だった。

友誼商店や北京飯店の近辺にはいわゆる「チェンマネ屋」、つまり外国製品を買いたくても外貨兌換券を持たない中国人のために「チェンジマネー?」と我々に人民元との闇両替を持ちかける少数民族の若者がたむろしていた。

街で食事をしようにもファストフードなどはなく、思い切って入った道端の食堂には、料理の名前が黒板に書かれているだけだった。食器はホコリをかぶり、かごに入った竹の箸をティッシュで拭くと真っ黒になった。今やハイテク企業が立ち並ぶ中関村には生鮮食料品市場があり、個人業者が肉や卵、野菜を売っていた。

1987年、北京・王府井  筆者撮影

改革開放が始まって10年足らずの中国は、北京のような大都会でもこんな状況だった。バブル景気の中で学生時代を過ごし、生の中国語を学ぼうとやってきた自分にはカルチャーショック、まさにサービスも商品も何もないという感覚だった。

日本に電話をするには、学校の長距離電話室に申し込みが必要だったし、列車の切符は北京駅の外国人専用窓口に何日間も通ってようやく手に入れた。今ではいずれもスマホさえあれば、微信(ウィーチャット)で瞬時に中国の友人と通信ができるし、旅行予約アプリで高速鉄道の予約ができる。

今年は1978年に始まった中国の改革開放から40年に当たる。当時はあまりの不便さに驚愕したが、むしろあの時代をわずかでも直接体験できたのは良かったと思う。この間の驚異的な発展をそのスタートから知ることができたからだ。

だが、40年間の変化は、経済や物質的な変化にとどまり、政治改革や国民の権利、自由の拡大といった面では、停滞どころか後退すら起きているとの声が出るようになった。こうした状況に中国のネット世論や知識人はどのように考えているのか、紹介したい。

 

「断固として変えない」と演説

習近平国家主席は12月18日、改革開放40周年を記念する大会で演説を行った。2時間近くの演説の中で、人々の記憶に強く残ったのは、「改革すべき、改革できることは断固として改革するが、改革すべきでない、また改革できないことは断固として変えない」という発言だった。

知人で自由派学者の栄剣はツイッターで「談話の全文を読んだが、重点中の重点はこの『改革すべきでない、また改革できないことは断固として変えない』という言葉だ。すでに千項目以上の改革をやった。残っているのは改革すべきでない、あるいはできないものだ」とコメントした、つまりは談話の重点は「改革しない」方に重点があるとの指摘で、多維ニュースなど海外の中国語メディアは「不改論」と名付けた。

ボイス・オブ・アメリカ(中国語)の「習近平の強気の談話 米中関係一層の困難に」という記事によれば、英オックスフォード大学の研究者は、12月初めのアルゼンチンでの米中首脳会談を受け、習近平が今回の大会を利用して新たな経済改革の方向を表明するのではと期待していたが、習近平の談話に失望したと述べた。

「人々が関心を持つ市場化、イノベーション、政策の変化などのテーマは取り上げなかった。代わりに出たのは非常に強硬かつ挑発的な主張、つまり共産党が過去、現在そして将来も、経済や全国の指導的地位を保ち続けるという発言だった」とこの研究者は語った。

フランス国際ラジオ(19日)も「40年の改革について習近平が行った演説の中で、人々の記憶に残るのは『改革できないものは断固として変えない』という部分だけだろう。人々が感じたのはこの『堅決不改(断固として変えない)』という4文字であり、共産党の絶対的な指導を強調した習近平の発言からは、政治改革は全く不可能だということをより強く印象づけた」と指摘した。

そして、微信では、「改革開放とは何か」という、習近平の発言に関する次のような文章が投稿された。主な内容は次のようなものだ。