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老後貧乏を避けるには「40からの人間関係コンパクト化」が絶対必要だ

人生100年時代のマネーシフト(18)

前回は人生100年時代を見据え、ポジティブな意味で40代に入った時点で終活をスタートするのが望ましいという話をした(一般的に終活というのは、相続や墓地など、具体的な準備について指すことが多いが、本稿では老いに対する備えというもう少し広い意味で使っている)。

企業の中で高い役職まで出世できる人はごく一部という現実を考えた場合、人生後半戦でのキャリアに対する考え方は大きく変わってくるはずだ。

これに加えて家庭生活も40代以降は、徐々にコンパクトなものに変えていく必要がある。老後になって経済的に苦労するのは、たいていがメタボな生活を見直せなかった人である。人生の後半戦をコンパクトに過ごすことができれば、老後に対する心配も大きく減るだろう。

(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第18回です。前回までの連載はこちらから)

 現役時代の給与が減る

これまでの日本社会は、一定以上の規模の会社に入れば終身雇用が保障され、年齢に応じて給料が上がるのが当たり前だった。このため歳をとるほど支出が多くなり、家計がメタボになるのもごく普通のこととされた。

しかしながら、年金の減額がほぼ必至となり、事実上の生涯労働システムに移行しつつある今、年功序列の給与体系は維持できなくなる可能性が高い。

 

現時点において、日本の給与所得者の平均年収から擬似的に算出した生涯年収(大学卒業後60歳まで勤務と仮定)は約1億8000万円である(これは全体の数値なので男性に限ると約2億3000万円になる)。従業員を70歳まで雇用する場合、企業は人件費総額の増大を強く警戒するので、生涯年収を増やさないよう、現役時代の給与を引き下げる可能性が高い。

もっとも削減効果が大きいのは中高年社員なので、一定以上のポストに就いていない人を管理職から外す、いわゆる役職定年を強化するとともに、高齢者については、再雇用という形で雇用を保障する代わりに年収を引き下げる措置を実施するだろう。

再雇用でも給与は大幅に下がる可能性が高い〔PHOTO〕iStock

仮に、55歳から役職定年がスタートし、60歳以降は、従来の現役世代の6割に年収が下がると仮定した場合、35歳以降は基本的に昇給しない給与体系にしないと企業は総人件費の増加を抑制できない。

さすがに35歳で昇給ストップはないだろうが、40歳以降というのはかなり現実的な数字だ。あくまで給与所得者全体のマクロ的な数字であり、個別のケースは様々だろうが、出世しない限り40歳以降は昇給しない社会が到来しつつあるのは間違いない。

そうだとすると、家計の支出もそれに合わせて40歳前後の経済状態を標準形とし、その状態を維持する方策を考えなければ、収支が赤字に転落してしまう。