市場シェア5割超!世界を席巻する「もう1つのAmazon」の正体

覇者が考える「次代のデジタル戦略」とは?
西田 宗千佳 プロフィール

「無人コンビニ」をつくるには?

たとえば「無人コンビニ」をつくるとしよう。

コンビニエンスストアの店内には、最低でも数十台のカメラが設置され、人の動きや購買動向をくまなくチェックすることになる。1店舗だけならまだいいが、全国に数百・数千とあるチェーン店すべてに、同じシステムが導入されるとしたらどうだろう?

画像や音声など、センサーから得られたデータをそのままクラウドに流していたのでは、ネット回線的にもクラウドインフラ的にも負担が大きい。

クラウド側ですべてを処理するのではなく、エッジAIで処理をして「結果」だけを集めれば、ネットを通るデータの量も劇的に少なくなり、インフラへの負担が軽減される。そうすれば、仮に数億台を管理する時代が来ても、システム管理と情報処理は十分に可能である。

DeepRacerのような技術はエッジAIを使っており、開発基盤もクラウド側とエッジ側、両方に対応している。そして、集計したデータを集めておいて管理・解析する場合には、AWSをインフラとして使うのが当然、有利になる……という発想なのである。

戦略を転換したAWS

衛星とロボットカーは一見、縁遠いものに思えるが、じつは「クラウドにデータを安全に蓄積し、処理することで価値を生み出す」という視点は共通している。

また、一般的な映像や音声なども、クラウドに蓄積して機械学習で解析すれば、単なる音声や映像でなく「有用なデータ」になる。

Amazon ワーナー・フォーゲルCTO
  Amazon本社のワーナー・フォーゲルCTOは、基調講演で「映像や音声もすべて解析可能なデータの流れになる」と語った

数年前まで、AWSは顧客のデータを扱ったり、サービスに必要な処理能力を提供したりするインフラだった。いわば、「ロジックをもとにサービスを提供するためのインフラ」だったといえる。

だが、現在のAWSは、サービス構築者が集めた膨大な不定形のデータを、効率的に利用するためのストレージ技術や機械学習の技術を磨いている。すなわち、「データをもとにして、それを適切に活用してサービスに活かすためのインフラ」へと姿を変えつつあるのだ。

「データ中心主義の世界」では、安全かつ効率よくデータを預かり、そこから生み出した価値を返してくれるインフラが必要になる。

私たちとコンピュータの関係は、機械学習=AIの力によって変わりつつある。

だがこれは、別の言い方をすれば、「大量のデータから有用なものを取り出す手法をどう使うか」という視点があってこそのものだ。AIに携わる企業はどこも、そのようなビジョンをもっているし、AWSもまた、その例外ではない。

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