市場シェア5割超!世界を席巻する「もう1つのAmazon」の正体

覇者が考える「次代のデジタル戦略」とは?
西田 宗千佳 プロフィール

「目に見えない」Amazonの着眼点

新サービスの名前は「AWS Ground Station」。AWSは世界中にサービス拠点をもっているが、そこに衛星とのデータリンクを行う基地局を配置し、衛星からのデータ取得を行いやすくする。

衛星との高速ダウンリンクが行える基地局の数は限られており、そこを一定時間占有するのは、どうしてもコストがかさむ。そもそも、衛星サービス系の会社とコネクションがないと、どうアプローチしていいかもわかりづらい。

AWSは、そこに目をつけた。

AWSの施設内に基地局を配置し、ダウンリンクを行うタイミングや量などをウェブからオンデマンドで「発注」できるようにしたのだ。こうすれば、衛星から得られる写真やデータを活用するハードルがぐっと下がる。

【写真】「AWS Ground Station」を発表
  AWSは、衛星の活用を円滑化する「AWS Ground Station」を発表した。衛星からのデータ取得のハードルを下げ、活用を促進することが狙いだ

有能なエンジニアを確保する秘策

同様に、一般的なAWSのサービスとは毛色が違っていたのが、基調講演で発表された「AWS DeepRacer」というロボットカーだ。インテル製のプロセッサーとHDカメラを内蔵し、道路を認識して自走する「自動運転車」のキットになる。

AWS DeepRacer 1
AWS DeepRacer
  AWSが発表した「AWS DeepRacer」。カメラの映像をもとに、自ら判断してコースを走る「ロボットカー」で、その自動運転ソフトの開発から、「強化学習」技術を学ぶことが目的だ

いかにもガジェット好きが好みそうな機器だが、AWSはインフラの会社だから、「コンシューマーにガジェットを売りたい」わけではない。これはあくまで、AWSが機械学習、特に「強化学習」とよばれる技術に詳しい技術者を養成するための学習ツールなのである。

エンジニアはDeepRacerを題材にして強化学習を使った自動運転のソフトをつくり、AWSはDeepRacerを使ったレースリーグを開催する。良い成績を収めたエンジニアを、来年の「re:invent」へ招待する……という「賞品」もある。

会場ではさっそく第1回のレースが行われ、多数のエンジニアがチャレンジしていた。

【写真】DeepRacerのレース
  会場の1つであるホテル「MGM Grand」にあるスポーツアリーナ(ボクシングの世界戦が行われることで有名な、巨大なスタジアム)では、DeepRacerのアルゴリズムを競うレースが催され、多くの開発者が参加していた

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