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ドル全面安へ!いま「1ドル=100円割れ」の円高を警戒すべき理由

過去5年の「大前提」がガラリと変わる

ドル円相場の行方

2019年の世界経済、とりわけ為替市場はどのような動きを見せていくのだろうか。まずは昨年の総括と反省を簡単に行ってから、新たな予想を議論してみたい。

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昨年の今頃、筆者はこのように述べていた。「2017年のドル/円相場は近年まれに見る静かなものだった。だが、変動為替相場制において、このような相場が2年連続して続くことはまれである」と。

結論から言えば、昨年はその「まれ」なことが現実なものとなった。

円高にもならなかったし、円安にもならなかった。昨年のドル/円相場の高値、安値の値幅は「9.99円」と史上初の10円未満である。ちなみに2017~18年、直近2年間の高値・安値の値幅も14円に満たず、これも「2年間」としての史上最小値幅である。

つまり、2018年のドル/円相場の正解は「レンジである」という予想だった。金融市場のボラティリティから収益を得ようとするディーラーや方向感を予測しなければならないアナリストにとっては極めて厳しい環境だったと言えるが、その一方で企業の事業環境としては望ましいものであったと言える。

 

「米金利」の動きから見える、この先のシナリオ

しかし、為替は動かなかったが、そのドライバーとなるはずの米金利は大きく動いた

米金利に関しては1年前からイールドカーブのフラット化ないし逆イールド化が懸念され、行き過ぎた利上げの結果としての米国内外の景気減速や株に代表されるリスク資産価格の調整、結果としてのFRBの正常化プロセス停止が予想されてきた経緯がある。

実際、この読みは概ね当たっていた

2018年、FRBは3回利上げしたが、これにともないイールドカーブのフラット化は着々と進み、12月には一部年限で逆イールド化が話題となった。最も注目度の高い10年と2年の金利差も11bpsまで縮小した。そして株を筆頭とするリスク資産価格の調整も10月以降、露わとなった。NYダウ平均もS&P500指数も年初来下落で越年している。

とりわけ11月下旬以降はFRBの姿勢変化がにわかに注目を集めた。

10月初旬の時点で「中立金利」超えシナリオまで謳い強気だったパウエルFRB議長は、急に腰の引けた発言に終始するように、12月のFOMCでは政策メンバーの金利見通し(ドットチャート)が引き下げられるに至った。

本稿執筆時点ではパウエル議長の姿勢も大分ハト派に傾斜しているが、金融政策は急には変われないものであり、今や市場の半分近くが想定するような「利上げなし」という予想中央値に至るまでには時間が必要だろう。まずは12月にドットチャートが後退したことが、その後、究極的に訪れる利上げ停止・利下げ・バランスシート縮小停止・拡張といった道への一里塚になると考えたい。