「AKIRA」©大友克洋/マッシュルーム/講談社

<東京リボーン>NHKが撮った「2020・ネオ東京」驚きの光景

未来の日本を創造する

予言、だったのか

ネット上で、「今の東京を予言していた」と騒がれているSFコミックをご存じだろうか。

大友克洋の『AKIRA』だ。舞台は2019年の東京で、しかも翌2020年に東京オリンピックが開かれるという、見事に現在と重なる設定だった。

「予言者」とすら言われている作者の大友さんだが、このことについてはずっと口を閉ざしてきた。

 

先日、ご一緒させていただく機会があり、思い切って尋ねてみた。

「どうやって予言したんですか?」

大友さんからは、「いや、たまたまの偶然だ。俺は予言者じゃない」と一蹴されたものの、「もし、もう一度オリンピックが開催されるとしたら……と計算していったら、2020年くらいになった」と言う。

『AKIRA』は、世界大戦後の荒廃した巨大都市で暮らす若者達が、自分たちの生きる道を探す物語。その舞台となるが、新しい東京の街、その名も<ネオ東京>だ。

「最初に考えたときは、ネオ東京ではなくて、<ニュー東京>だった。でもこれじゃ中華料理屋の名前だろ。ダサすぎだろ」

そして最後にこう付け足した。

「前回の東京オリンピックって、本当に美しかったのよ。でもな、これから東京は昭和の残滓を全部切り捨てて、新しいものを創り上げるべきなんだよ。新しい東京を、新しい人たちが創っていくべきだと思うね。それは昔のじいさんたちがやることじゃないんだよ。東京はいつもそんな風でなきゃいけないんだよ。これが今回のあなたたちの作っている番組のテーマなんじゃないか」

大友さんの言葉に背中を押されるように、私たちは新しく生まれ変わろうとする東京=ネオ東京の誕生を追ったドキュメンタリー番組を制作している。

NHKスペシャル「東京リボーン」。現在東京で進む大改造の裏側に迫る、2020年まで続く6本シリーズの大型番組だ。今夜(12月23日)、その第1集が放送となる。

これから東京はどこに向かおうとしているのだろうか。その一端を、少しばかり紹介したい。

335の大規模プロジェクト

東京の街を歩くと、工事枠で囲われ、巨大クレーンが立ち並ぶ場所にそこかしこでぶつかる。現在、東京23区で行われている大規模開発プロジェクトの数は335にものぼる(『東京大改造マップ2018-20XX』日経アーキテクチュア編)。たとえば渋谷では、9つの路線が複雑に入り組み迷宮のようだった駅を、効率を重視した「未来型のステーション」へ作り替えている。

大改造中の渋谷駅

過密化する都心の足元では、災害に強くて巨大な地下世界が急拡大している。物流の玄関口・東京港では、陸と陸とを強引に繋ぐ海底巨大トンネルが設置されつつある。戦争からの復興、高度成長期に続く「戦後3度目の大変貌」が始まっているのだ。

先進国のトップを切って超高齢化や低成長に直面する日本。その首都・東京で進む大改造には、大きな共通点がある。「持続可能性」の追求だ。「環境に優しく」「効率的で」「災害に強い」都市へと生まれ変わることで、来たるべき試練を乗り越えようというのだ。