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# マネジメント

じつは日本の上司にいちばん足りない「褒める&叱る」の正しいやり方

大切なのは「何を」褒めるか
上司の最大の悩みは部下、部下の最大の悩みは上司。
多くのビジネスパーソンが持つリーダーシップの悩みを物語を通して解決する注目書『本物のリーダーは引っ張らない』(講談社)から、そのエッセンスを短期でお届け。                            登場人物は4人。
佐藤浩二:昔ながらの体育会系リーダーシップを実践するも、最近なかなか部下とうまくいかないことに悩んでいるアラフィフ。
高野賢介:優秀な若手として、期待されてリーダーを任されたものの、なかなかうまくいかなくて悩んでいる。
牧村美香:賢介の学生時代からの友人で、最近上司からリーダーにならないかと打診されて、「私なんて向いていない」と悩んでいる。
ママ:リーダーシップで悩める3人が出会ったワインバーの経営者。彼女はじつは7軒の店を経営・成功させている凄腕。即席リーダー塾の講師役。   最終回は多くの上司が悩む「褒める」「叱る」について。

大切なのは「何を」褒めるか

ママ:自分のことを認められて嬉しくない人はいないと思うの。そして、自分のことを認めてくれる人のことを人は好きになると思うの。牧村さんはどう?

牧村:そうですよね。私も認められれば嬉しいし、認めてくれる人には好意を持ちますよ。

ママ:そうでしょ。だから、認めるという行為は、相手との良い感情関係を形成するうえで、大切な行為であることは間違いないの。でもね……。

 

そう言って、ママは三人に問いかけるように話の続きをした。

ママ:じゃあ、そのためには何でも褒めればいいの? 例えば、自分がたいして頑張ってやったわけでもないことや、努力をしてもいないことを褒められたりして嬉しい?

牧村:いや、私は嬉しくないですね。

高野:僕だとそうされると、何かこの上司、裏でもあるのかと逆に疑ってしまいますね。

佐藤:俺も疑問だな。そこじゃないよってところを褒められても、逆に馬鹿にされている感じがしない? 見てないなあ、この人って思えるし。下手したら、この人のことを舐めてかかるようになるんじゃないかな。

ママ:そうなのよ。そこなのよ。認めることはとても大切。だけどなんでもかんでも褒めればいいわけではない。頑張っているところ、努力したところ、その人の本当にいいところ、相手のためを思って頑張ったこと、そういったところをちゃんと見てあげて、見つけ出してあげて、それを知ったうえで、認めてあげることが一番大切なのよ。
 
佐藤:そうか。俺も何となく、最近の褒めればいいみたいな風潮に疑問を感じていたんだ。

結果だけ褒めることの落とし穴

高野一番大切なことは、褒めるという行為そのものよりも、「何を」褒めるかということですね。そして、正しくその「何を」をつかむためには、相手をよく見て、よく「知る」ということが欠かせないということですね。
 
ママ:そうね。その「何を」というとき、しつこいようだけれど私は結果や成果だけでなく、それ以外の、その人のいい所やいい事にもっと上司は着目すべきだと思うの。つまり、プロセスみたいなところもかな。

高野:どうしてママはそう考えているんですか?

ママ人はね、認められたことを記憶し、認められたことを再現しよう、守ろうとするところがあると思うの。そうすると結果だけが褒められる条件になると、とにかく結果を出すことだけに人は固執するようになると思うの。それはもちろん決して悪いことばかりではないけれど、二つのリスクをはらむ可能性も高まるんじゃないかと考えるわけ。