# マネジメント # 働き方改革

なぜ働き方改革をまじめにやるほど、社員はどんどんつらくなるのか

どこかで見た職場の風景
下田 直人 プロフィール

あの成果主義の再来

どの会社でも残業時間の削減に必死になっている今の姿は、私には既視感がある。

そう、15年くらい前にブームとなった成果主義賃金導入の時と同じような感覚だ。それ以前の日本は、年功序列が基本で、結果により毎年賃金が上下するような仕組みは珍しかった。しかし、ブームと共に、猫も杓子も成果主義賃金導入と言い始めた。私の顧問先でも成果主義を導入したいとの相談が多数あった。なかには、飲食店でホールの一般スタッフにまで成果主義賃金を導入したいという無茶なものまであった。

今はだいぶ落ち着き、傾向としては、仕事の結果が測りやすい職種やポジションにのみ導入されている企業が多いと思う。

今回は法改正を伴うので、成果主義賃金ブームの時とは若干異なるのかもしれないが、同じようにあまり将来のことを考えず、つまり、本当の目的を忘れて、とにかく削減となっている気がしてならない。

 

いちばん大事なものを標語にしてみる

結局のところ、手段を目的化しないためには何が大事なのだろうか。

ここでは、ひとつの解決策をあげておこう。

それはまず最初に「標語を置く」ということだ。仕組みとも言えないシンプルな方法でお金もかからないが、意外と効果がある。

「標語」は、働き方改革に限らず、私が会議のファシリテーションをする時、議論を進めるにあたり大切にしていることでもある。

多くの場面で議論は白熱してくると、本来の目的を忘れてしまう。それを防ぐために、議論の前にホワイトボードなどに大きく、標語を書いておくのだ。

例えば、働き方改革の議論を進めるにあたって、いきなり本論に入るのではなく、「なんのための働き方改革か?」について議論してもらう。すると、「生産性を上げるため」という答えがあがってくる。

それに対して、「なんのために生産性を上げるのか?」と聞く。この「なんのため」を繰り返していくと、ほとんどの会社で最後は表現の言葉は違えども、「幸せのため」という答えが出てくる。

そこで、「働き方改革は、皆さんの幸せのためにするんですよね!」ということを共通認識とする。「働き方改革はみんなの幸せのため」これが標語だ。

そのことを明確にしてから、具体策を議論をする。そうすると、目的を忘れた議論になりにくい。

しかし、現場にいくと、またその目的を忘れてしまうので、オフィスの中にも標語のように、「働き方改革はみんなの幸せのため」と見えるところに書いておく。こうしておくことで、全てが解決とはならないが、一度原点に立ち帰ることができ、手段の目的化を防ぐことができる。

とても原始的だが、お金をかけず、手段の目的化を避ける特効薬だ。