七面鳥を食べますか?(Photo by iStock)

クリスマスは「断食の時期」でもあることをご存じですか

レバノン出身の客員教授に学ぶ「聖夜」
今年のクリスマス、あなたはどのように過ごしますか? レバノンから来日して45年以上が経った、日本で客員教授をつとめる石黒マリーローズ氏のエッセイから、「クリスマスとはいったいどんな行事なのか」をあらためて考えてみましょう。

24種類の料理を用意する人も

もし日本中の学校に通う子どもたちが、あるいは大学生でさえも、この一大イベントに込められた本当の意味について教えられていれば、それは実に素晴らしいことに違いありません。

もちろん日本でも、カトリック系列の学校や幼稚園では、他の国のように「キリスト降誕劇」が演じられます。ある人は羊飼いを演じ、別の人は聖ヨセフを、また聖マリアを……といった具合に。

日本では、多くの人がフライドチキンを買ったり、ホテルやレストランでローストチキンセットやクリスマスオードブルを注文したりしますが、世界の多くの人は、大きな七面鳥や、その他あらゆる種類の美味しいものを食べます。

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世界の多くの国で、その日は祝日となっています。ポーランドの知人は、クリスマスイブの日には家族と一緒に、空に一番星が輝くのを待たなければならなかった、と私に言いました。それを見てからでないと、クリスマスのメインの食事が始められないのです。

メニューは鯉とビーツのスープなど、他の多くの国ではあまりお目にかかれないものでした。彼女たちの視線が、どのように、創造主である神の創り給うた空に注がれていたか、想像に難くないでしょう。

また、クリスマスイブの夕食は、肉を含まないものとされています。その理由は、飼い葉桶の中にいる幼子イエスを見守り、温もりを与えた動物たちに敬意を表するためです。

カトリック教国の中には、そのうちの一人が30代前半で亡くなったイエスを裏切ったとはいえ、12使徒を記念して、12種類の料理を用意するところもあります。

ラトビア出身の知人が話してくれたのは、ラトビアでは、ほとんどの人が、深夜のミサには出席するものの、クリスマスイブは家で過ごし、夕食の後にプレゼントを交換し、25日にはサンタからの小さな贈り物をもらうそうです。

そして、25日には人々は教会へ行き、それからクリスマスマーケットやコンサートに行ったり、ジンジャーブレッドを食べたりワインを飲んだりするそうです。

また、彼女は私に、毎週日曜日には蝋燭にどうやって火を灯すのか、アドベント(待降節)の時期には降誕の場面に必要なキリスト生誕の像をどうやって用意するのか、またクリスマスディナーとして穀類、豆、ポークなどを含む24種類の異なる料理を用意すること、などを教えてくれました。

ともかく、クリスマスは、最も多くの国で祝われている行事で、喜び、家族、人への思いやり、愛する両親や祖父母によって用意される食事、などの時期でもあります。

家族の名前、あるいは個人の名前が書かれた、プレゼントが中に入ったカラフルなクリスマスの靴下がぶら下げられています。

 

クリスマスイブにデートするなんて!

キリスト教国であろうがそうでなかろうが、キリスト教徒であろうがそうでなかろうが、こんなにも多くの国でクリスマスが祝われているのは、実に驚くべきことです。

クリスマスの飾りつけが、日本ではまだ11月にもならないうちから始まります。クリスマスやサンタクロースにちなんだ装飾の数々、リース、ベツレヘムの星をてっぺんに飾ったクリスマスツリー、などがクリスマスイベントの宣伝の中で見られました。

また、店のパンフレットにはおせち料理もさることながら、 「メリークリスマス」、またはフランス語でメリークリスマスという意味のJoyeux Noëlと書かれたプレートやサンタクロースの人形、赤いリボン、ベル、葉っぱなどで飾り付けられた、とてもカラフルで綺麗なクリスマスケーキが載せられています。

日本は寛容な人々で満たされているので、家族と一緒にチキンでクリスマスを祝い、ケーキ屋さんでクリスマスケーキを買い、いろんな種類のプレゼントを用意します。これらすべてが、メリークリスマスの精神にふさわしいものです。

日本における、クリスマスのロマンティックな面についてはどう思われますか?

何人かの私の可愛い教え子たちは、クリスマスイブを一人で孤独に過ごすことになる、と私に告白しました。それは、「彼らが両親や祖父母から遠く離れて暮らしているから」ではなく、「デートする相手が誰もいないから」なのです。

まあ! クリスマスイブにデートするなんて! 

神を信じていようといまいと、「油注がれた者」という意味である「救世主」、と呼ばれているイエスの誕生を祝う夜なのに!

クリスマスは、救世主や救い主と呼ばれる神の子であるキリストに、ハレルヤに、聖夜に、クラシックのみならずあらゆる種類の音楽に、アヴェ・マリアに、オラトリオ「メサイア」に、あらゆる年齢層の時には様々な信仰を持つ人でいっぱいの教会に、キリスト降誕の場面に、イルミネーションに、「受胎告知」のような絵画に、結びついています。

クリスマスはholy day(聖なる日)であるとともにholiday(祝日)でもあるのです。オラトリオ「メサイア」は、キリストの誕生から十字架上での死に至るまで、また、復活祭のテーマでもあるキリストの復活についての物語です。