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「お正月太り」は人類に備わった「生きるパワーの証」だった

食欲のしくみを制して食べすぎを防ぐ!
「なぜ食べすぎるのか」と題して講演をする機会を得た、『「おいしさ」の科学』著者の佐藤成美氏。講演先は、マクロバイオティックのクッキングスクールなどを行っている、日本CI協会。食への関心が高い人が集まり、熱心に話に耳を傾けていただいた。ここでは、そのときの講演内容のなかから、特に関心が強かったと思われる内容について触れてみたい。

もしも味覚がなかったら……。「おいしさ」には意味がある

ダイエット中なのに一口食べたら止まらなくなってしまったり、気がついたら好きだからといってすごい量を食べてしまっていたり、なぜつい食べすぎてしまうのか。

その謎を考える前に、そもそもおいしいとは、その正体は何なのかについて述べたい。

おいしさとは、食べ物を食べたときの「快感」だ。私たちは食べないと生きていけない。そこで、食べることに快感がもたらされることで、食欲がわくようにできているのである。私たちは体に必要なものは本能的においしく感じる。それを識別する役割を担っているのが味覚である。

味覚は「甘味」「塩味」「旨味」「酸味」「苦味」で構成されており、このうち、甘味、塩味、旨味は、おいしく感じる。

甘味はエネルギー源の糖、塩味は生体調節などに必要なミネラル、旨味はたんぱく質のもとになるアミノ酸や核酸に由来し、人体に必要な栄養素の存在を知らせるシグナルになっている。

一方、腐ったものは酸っぱくなり、毒のあるものは苦いものが多いため、酸味は腐敗を、苦味は毒素の存在を知らせる味だ。

そのため、生まれたばかりの赤ちゃんでも甘味や旨味を口に入れると気持ちよさそうな表情になり、苦味や酸味は嫌がる。

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  赤ちゃんでも甘味や旨味には気持ちよさそうな表情になり、苦味や酸味は嫌がる photo by gettyimages

やがて食経験を重ねると、味覚は発達し、苦味や酸味を受け入れるようになる。大人になって苦いコーヒーやビールがおいしくなるなど、食経験を重ねることで感じるのが経験的なおいしさだ。

このようにおいしさは、本能的なおいしさと経験的なおいしさに大別される。経験的なおいしさは、人それぞれで基準が異なるが、本能的なおいしさは生まれながらに感じる共通なものである。