希少性が高いわりにサファイアの価格が安いのは、きっと中国人をはじめとするアジア人にとって、ルビーの赤色が「縁起の良い色」と考えられているからでしょう。
ただし、サファイアの相場も近年はずいぶんと値上がりしました。上記で私はミャンマー産の非加熱サファイア(最高級品2カラット石)の標準的な小売価格を1000万円としましたが、10年ほど前なら、この半額ほどで買えたものです。
ミャンマー以外でもサファイアは採れます。タイやスリランカなどアジア諸国に加え、マダガスカルやナイジェリアなどのアフリカでも採掘されていますが、いずれもミャンマー産に比べると品質が劣ります。市場価格をみても、ミャンマー産が10とすればスリランカやマダガスカル産は3程度に過ぎません。
投資という観点で考えるなら、ルビーと同様に熱処理の有無も重要です。ルビーと同じく、サファイアも1500度程度の高温で長時間加熱されると、きれいな色に発色します。
国内の有名デパートなどでは、しばしば加熱されたサファイアが売られていますが、ルビーと同じく加熱された石に資産性はありません。身に着けて楽しむだけなら加熱石で十分なのですが、資産運用の対象としてお持ちになるなら、加熱石は避けるべきでしょう。
2カラットのピジョン・ブラッドが3500万円、同サイズのロイヤル・ブルーが1000万円…このような金額を聞いて諦めてしまう方でも、「スピネル」なら手が届くかもしれません。
最高級のスピネルは、やはりミャンマーをはじめアジアで採掘されますが、例えば最高品質の2カラットのスピネルでも、300万円前後で手に入れることができます。
ただし、良質なレッドスピネルを日本国内で見つけるのは至難の業です。スピネルは特にヨーロッパで人気が高く、さきほどの四大宝石にスピネルを加えて「五大宝石」とする見方もあるほどなのですが、日本での知名度はイマイチです。
たまにネットでレッドスピネルを見かけることはありますが、それでもせいぜい1カラット前後の小粒な石や、色に雑味のある石ばかりで、大粒かつ良質なスピネルを見ることは稀です。