Photo by iStock

平成の終わりに神社本庁で吹き荒れる「内紛劇」の内幕

日本会議副会長も務める「総長」の去就

2018年11月以降、相次いで報じられている「神社本庁の内紛」。渦中にいるのは、日本会議副会長としても知られる、神社本庁総長・田中恆清氏(74歳)だ。

田中氏は2010年から日本会議の母体である神社本庁の総長を務め、2016年には3選を果たして「長期政権」を継続中である。

「本日の20周年のこの記念大会は、憲法改正へと向かう新たな出発点でもあり、国会議員の先生方ともより強力に連携をとりつつ、なお一層の運動の推進を展開すべく、心を新たに取り組んでまいりたく思います」

2017年11月、日本会議「国会議員懇談会」設立20周年記念大会が開かれた際には、精力的にこんな挨拶もしている。しかしこれに先立ち、田中氏をめぐって神社本庁内部ではすでにゴタゴタが発生していた。さらに2018年9月には、田中氏自身が「辞任」を口にする事態にまで発展。いったい、神社本庁の内部で何が起きているのか――。

 

神社本庁「統理」と「総長」の対立

全国8万の神社を包括する宗教法人・神社本庁は、事務方トップの「総長」の上に象徴的存在として「統理」を置き、旧皇族、華族らがその職を務めている。

いわば首相と天皇に相当するが、その両者がいま対立している。

現在の統理は昭和天皇の甥の鷹司尚武氏(73歳)である。

鷹司家は鎌倉時代以降、公家の家格の頂点といわれた五摂家の一つで、尚武氏は鷹司平通氏と昭和天皇の第三皇女・和子さんの養子となり、鷹司家28代目当主となった。

1972年、慶應義塾大学大学院工学研究科修了後NECに入社し、子会社社長を経て2007年6月に退社。翌月伊勢神宮のトップである大宮司に就任、2018年5月に全国8万社の宮司の頂点である神社本庁の統理に就いた。

一方、事務方トップにあたる総長を務めるのが、田中氏である。

2010年に総長就任後、日本会議で副会長を務めたことから安倍晋三首相をはじめ政権中枢に接近し、実力派総長として重きを為していた。総長の任期は3年で、2期6年にわたって総長を務めた田中氏は、2016年に3期目の改選が予定されていた。

2016年に開かれたG7伊勢志摩サミットで伊勢神宮を訪れる安倍首相(Photo by gettyimages)

このタイミングで、田中総長を指弾する怪文書がバラ撒かれたのが、そもそもの端緒であった。3期目の総長に意欲を示す田中氏が、ますます影響力を強めることを嫌う向きがあっためだ。田中氏の「政権」が長引くことで世代交代が進まないことにフラストレーションを溜めた勢力の関与がささやかれた。

「神社本庁の不動産売却をめぐり、怪文書と告発文書があちこちに流布されました」(神社本庁関係者)