夜空に浮かぶ「おたまじゃくし・えび・くらげ」を巨大画像で眺めたら

多様な形で「銀河の生い立ち」がわかる
臼田-佐藤 功美子 プロフィール

このように距離の異なるふたつの遠方銀河が、同時に重力レンズ効果を受けている例は過去にほとんど見つかっていません。

異なる距離の銀河を同時に見られるホルスの目は、銀河の性質や宇宙の歴史を調べる上で、重要な鍵を握っていると期待されています。

ホルスの目を形作る銀河の位置関係ホルスの目を形作る銀河の位置関係を模式的に示した図 Photo by 国立天文台

「衝突銀河」の多彩な形

先ほど述べたように、広大なHSC画像の中に写り込んでいる光の点のほとんどは、銀河です。まるい形をした楕円銀河や、渦を巻いた渦巻銀河のように、形がはっきり見える銀河もあれば、小さく淡い点にしか見えない遠方の銀河もあります。

横に光の筋が伸びている明るい天体は、天の川銀河に属する恒星ですが、それ以外の点はみんな銀河だといってよいでしょう。ちなみに、画像で恒星上に見える筋は、星からの強い光が、他のCCD画素にあふれ出したことによって見える人工的なものです。

恒星写り込んでいる恒星 Photo by 国立天文台

広大なHSC画像の中には、複数の銀河が重力を及ぼしあい、お互いの形を乱し合っているようすが多数見つかります。

たとえばりゅう座の方向4億光年の距離にある「おたまじゃくし銀河」は、尾のような構造を持っています。おたまじゃくしの頭にあたる部分に棒渦巻き銀河がありますが、その近くを小さな銀河が横切った時、銀河同士が重力を及ぼしあい、約28万光年の長さの「尾」ができたと考えられます。

おたまじゃくし銀河おたまじゃくし銀河 Photo by 国立天文台

おたまじゃくし銀河のように、ほかの銀河からの重力で引っ張られたり、衝突したりして形が変わったものを衝突銀河といいます。

その中には、衝突前のものや、すれ違っただけのものも含まれます。銀河同士の距離が縮まると、お互いの重力の影響が強くなり、形を乱し合うからです。

衝突の形態もさまざまです。同程度の大きさの銀河が衝突することもあれば、大きい銀河と小さい銀河が衝突することもあります。正面衝突するものもあれば、斜めに衝突するものもあります。衝突回数が多いものも少ないものもあります。

その結果、私たちもいろいろな形の衝突銀河を見ることができるのです。おたまじゃくしに限らず、えびやくらげのような形の銀河も見つかっています。ビューアを使って、面白い形の銀河を探してみられてはいかがでしょうか。