Photo by 国立天文台

夜空に浮かぶ「おたまじゃくし・えび・くらげ」を巨大画像で眺めたら

多様な形で「銀河の生い立ち」がわかる
宇宙には、銀河とよばれる恒星の大集団が多数あり、私たちが住む天の川銀河(銀河系)もそのひとつです。
ハワイ島にある「すばる望遠鏡」を夜空に向けると、暗い領域にも膨大な数の銀河が存在していることがわかります。その形は多種多様。まるい銀河や渦巻きのある銀河、ほかの銀河とすれ違ったりぶつかったりして形がゆがんだ銀河もあります。
2017年に公開されたすばる望遠鏡の広大な画像を眺め、いろいろな形の銀河を探してみませんか。

20周年を迎える「すばる望遠鏡」

日本の「すばる望遠鏡」は、米国ハワイ島・マウナケア山頂に建設されました。

口径8.2メートルという、世界最大級の一枚鏡を持つ光学赤外線望遠鏡で、1999年から観測を開始しました。

大きな鏡を持つ望遠鏡ほど、より多くの光を集められるため、より暗い天体をより詳細に調べることが可能になります。

マウナケア山頂の標高は富士山よりも高い4205メートル。晴天率が高い上に、気圧が平地の3分の2程度しかありません。空気が薄く、その流れも安定しているため、天体観測に最適な場所のひとつとして知られており、世界有数の望遠鏡が並んでいます。

散開星団「すばる」散開星団「すばる」と木星が優しく見守るマウナケアの静夜 Photo by Mr. Pablo McLoud - Subaru Telescope, NAOJ.

満月9個分を視界におさめる自慢のカメラ

多様な観測目的に対応するため、すばる望遠鏡には複数の観測装置やユニークなカメラが搭載されています。

8.2メートルの鏡で反射した宇宙からの光が最初に像を結ぶのは主焦点。ここに取り付けられたカメラは、一度で広い空の領域を撮影できます。

しかし、主焦点は望遠鏡の一番上に位置します。そこに重いカメラを取り付けるためには、望遠鏡が堅牢な構造を持ち、かつ、バランスよく動く技術が必要です。すばる望遠鏡は、主焦点カメラを搭載することを前提に設計されており、「シュプリーム・カム」という名のカメラが2017年まで稼働しました。

満月の視直径は約0.5度。これとほぼ同等の視野は、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラの約200倍の視野に相当しました。

その後継装置となる、2013年から本格的な観測を始めた「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」はシュプリーム・カムの7倍もの視野を持ち、視直径も約1.5度。満月9個分の広さを一度に撮影することが可能です。

高さが3メートル、重さが3トン、独自に開発した116個のCCD素子を配置し、計8億7000万画素を持つ巨大なデジタルカメラです。

すばる望遠鏡の一番上に取り付けられたHSCすばる望遠鏡の一番上に取り付けられたHSC Photo by 国立天文台 / HSC Project

秋の星座アンドロメダ座の方向にあるアンドロメダ銀河は、私たちが住む天の川銀河とは別の隣の銀河で、肉眼で見える最遠の天体といわれています。230万光年の距離にあり、HSCの視野とほぼ同等の見かけの大きさを持っています。

先代のシュプリーム・カムでは、一度の撮影では一部しか写らなかったアンドロメダ銀河が、HSCでは一度の撮影でほぼ全景が収まるようになりました。

しかも写真を拡大すると、隣の銀河内にある星ひとつひとつが分解して写し出されています。高い解像度と集光力を誇るすばる望遠鏡と、広い視野を持つHSCの組み合わせにより実現できた写真です。

アンドロメダ銀河HSCがとらえたアンドロメダ銀河 Photo by HSC Project / 国立天文台
満月の見かけの大きさ、シュプリーム・カムとHSCの視野の比較満月の見かけの大きさ、シュプリーム・カムとHSCの視野の比較 Photo by 国立天文台

HSCの画像内を自由自在に散策

この、超広視野かつ高解像度のカメラHSCを使って、2014年から大規模な観測プログラムがすすめられています。5~6年をかけて300夜の観測を行う予定で、多くの日本人研究者が関わっています。

観測されているのは、天の川銀河内の天体が少なくて(夜空に見える天の川から離れていて)遠方の銀河を観測しやすく、かつ、他の望遠鏡による観測データが多く存在する領域です。

この大規模な観測データを使って、太陽系内の天体から遠方の銀河まで、多岐にわたる研究がすすめられています。