泣き寝入りする社会を終わらせる

こうした残念な状況でも、性暴力の被害者を支援する団体や生の教育を推進する団体などは、国や社会に対してアフターピルOTC化の働きかけを諦めていない。

参議院厚生労働委員会で、厚生労働大臣がアフターピルのOTC化を再度議論する見方を示す答弁をしたとのニュースもあり(RISFAX2018年11月26日)、今後議論が再燃する可能性もある。

今、私たちにできることは、まず避妊の正しい知識を得ることだ。避妊の責任は男女両方にあり、正しい避妊法で行わないと妊娠の可能性がある。年末年始や長期連休などは、避妊の失敗からアフターピルの需要が増えると聞く。

現状日本では、望まない妊娠を避ける方法は限られているため、今できる最良の方法を選ぶしかない。久住医師からは次のようなアドバイスを受けた。

・感染症予防と避妊対策として男性はコンドームをつけること

コンドーム使用の失敗は意外に多い。付け方については、メーカーのHPやピルコンなどのNPO団体が情報提供をしているので参考にしてほしい。

・女性の避妊法としては、アフターピルよりもまずは低用量ピルを

定期的にセックスするパートナーがいる場合には、低用量ピルを使うといい。ただし、ピルでは性感染症は防げない。性感染症はコンドームで予防すべき。

・ネットで不法に売買されている低用量ピル、アフターピルは買わない

議論や説教よりもまずは前に進もう

最後に付け加えておきたいことがある。

日本では、低用量ピルをはじめとするホルモン剤が諸外国ほど普及していない。知識不足や「ピルを使う女性はふしだら」「副作用が怖い」「月経は自然がいい」とい誤解も根強いためだ。でも、低用量ピルは、避妊ができるうえに月経日のコントロールが可能、つらい月経痛から解放されるなどのメリットがある。副作用については、使い方を間違わなければ、恐れることはない。

海外では、皮膚に埋め込むホルモン剤や子宮内に入れておく避妊リングなど、幾つもの選択肢がある。こうした現状はもっと可視化されるべきだし、メディアも取り上げるべきだと感じている。

イギリスの避妊具は女性が選択できるものも豊富だ。尿で排卵日を測定する「ペルソナ」、女性用コンドーム、長期避妊薬、低用量ピルに、アフターピル。2000年の写真資料だが、今の日本はまだここにも到達していない。(Photo by SSPL/Getty Images)

そもそも、産むか産まないかは、その人が決めるべき問題だ。望まない妊娠をさせられた女性は、その後の心配まで背負っていかなければならないのに、ふしだらだとか、結婚すべきだとか説教をされなくてはならない理由がどこにあるのだろう。

一刻を争うときに、必要なものが手に入らないとは。つくづくこの国の医療は、女性に不利益にできている。「私たちは、自分の体を大事にしたいだけなのだ。なぜその権利を保障してもらえないのか」と、もっと声をあげてもいいのではないか。

「早く結婚しろ、子供を産め」とか、「性が乱れるからピルを処方しない」「そもそもピルは反対」とか、いらぬ説教をする医師に当たってしまうこともあるかも知れない。そんなときは「次、行こう!」でいいと思う。性の問題は、タブーではなくて人権の問題、その人や生き方の問題でもある。産むか、産まないか、自分の体のことは自分で決めていいのだから。