完全な避妊はない。予定しない妊娠で窮地に立たされる女性は想像以上に多い。不幸な妊娠を避けるためにもアフターピルのOTC化は急務といえる。Photo by iStock

「アフターピルが市販されると女性の性が乱れる」という大嘘

クリスマスに無料配布する国もある

「日本は性教育が遅れているからダメ」

現在、アフターピルのOTC化(市販薬化)をめぐって、様々な議論が起きている。

アフターピルとは、妊娠を回避するために性交後に女性が服用するピルのこと。避妊を失敗したときや男性が避妊に応じてくれない場合、性暴力被害にあった場合などに、女性が自らの体を守る手段のひとつだ。

必要としている人は確実にいて、OTC化を望む声は多い。しかし、2017年の厚生労働省の検討委員会で、アフターピルのOTC化が見送られた。日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会から選出された委員たちから、「日本は性教育が遅れているため、安易な使用が広がる恐れがある」などの反対意見が出されたためだ。果たして、アフターピルが薬局などで入手できるようになった場合、本当に性が乱れる現象が起きるのだろうか。

クリスマスに忘年会と年末年始は、イベントも多くアフターピルの需要が高まる時期でもある。が、扱っている病院が連休や正月休みで閉まっていて、ほしいのに入手できないという声もある。

必要性をもっとも感じる今だからこそ、アフターピルのOTC化で救われる人たちのこと、逆に反対している人たちは誰なのかということを。そして、アフターピルを“安全に正しく”手に入れる方法についても、知っておくべきではないだろうか。

 

気をつけても“完璧な避妊”は不可能

18年11月、16歳少女が千葉県市原市の高校で出産、男児が死亡するという痛ましい事件があった。16歳の少女は親元に同居しているが、亡くなった男児を抱えて途方に暮れたように警察に出頭したという。もし「正しい避妊法」を学んでいれば、避けることができる悲劇だったのではないだろうか。

16歳の少女のケースは、決して特別な事例ではない。ツイッターでは下記のような内容のつぶやきも見られた。

・「避妊に失敗して、アフターピルをもらえる病院を調べたのも私、薬を飲んで気分が悪くなったのも、次の生理が来るのか心配したのも私。全額彼氏に負担してもらってもよかった」

・「アフターピルを受け取るため、診察を受けたいのに、仕事で3日以内に行けない。日中の病院受診は負担が大きい」

・「出会い系サイトで出会った男性と性行為をし、コンドームをつけてもらえなかった。明日アフターピルをもらいに病院行くけど、間に合うのか……」

など、女性たちのやるせない思いが綴られている(一部抜粋)。

「避妊したつもりが妊娠していた」ということは、実は日常的に起きている。安全日だからと膣外射精で済ませる、挿入間際にコンドームつけるなどは誤った避妊法だし、酔った勢いで性交渉してしまったなどの失敗は起こり得る。さらに、男性側の避妊拒否や性暴力の被害に遭い、望まない妊娠をしている女性も存在する。本来、妊娠や避妊は男女合意のもとでなされるべきで、男性の避妊拒否は、DVに当たり決して許されないことも付け加えておきたい。

ともかく、困ったときのプランBとして、知っておきたいのが、アフターピルという緊急避妊法なのだ。

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