「学校のクリスマスイベントで宗教色をなくすべき」論争は他人事か?

宗教色、日本ならどうする? 
雨宮 紫苑 プロフィール

ドイツのクリスマスは「宗教行事」

クリスマスマーケットが有名なドイツだが、実はクリスマスの日、たいていの店は閉まっている。

ドイツでは24日のお昼で店じまいをし、25日、26日は家族と過ごすのが一般的だ。各地のクリスマスマーケットにはイエスの誕生シーンを再現した像が設置され、家族そろって教会に行く。ドイツ南部、西部でとくに信じられている『Christkind』は子どもたちにプレゼントを運ぶ天使で、『幼いキリスト』を意味する。

ドイツは信心深い人が多くない印象ではあるが、それでも54%がキリスト教徒だ(参考:fowid)。

『信仰なし』が37%いても、わたしが正式な仏教徒でなくともお盆にお墓まいりに行くのと同じように、生活にはキリスト教的価値観が根付いている。

宗教改革が起こった国だし、小さな村にもひとつくらいは教会があるし、名前もキリスト教にちなんだものが多い。なんやかんやいってドイツの根幹にはキリスト教があり、クリスマスは『宗教行事』なのだ。

たしかに、注意して見てみると、クリスマスマーケットでは、頭にスカーフを巻いたムスリムの女性はまったく見かけない。少なくともわたしは一度も見たことがない。

クリスマスマーケットにて。たしかに改めて見てみると、通常は必ずみかけるムスリムの方の姿が見えない 撮影/雨宮紫苑

また、とある留学生に「メリー・クリスマス」と言ったら、「僕の国ではクリスマスは関係ないんだ」と言われたこともある。どこの国かは覚えていないが、その人にとってクリスマスは「ヨソの国の宗教行事」という認識なのだろう。

Die WeLT』紙のオンライン版によると、12月13日の時点で「4人に1人は今日からクリスマス休暇」に入っているらしい。その数、1100万人。モットーは「プロジェクトよりプレゼントを買わないと」というのだから恐れ入る。

日本人のわたしが思っているよりもはるかに、ドイツ人にとって『クリスマス』は大事なのだ。それこそ、仕事のプロジェクトよりも。

 

日本のクリスマスはイベントがメイン?

一方わたしが21年間経験してきた日本のクリスマスは、ドイツのそれとはずいぶん様子が異なっている。『クリスマス』という名のイベントであり、恋人、恋人がいなければ友人同士で集まる日、という位置付けだ。

「最強クリスマスデート」や「まだ間に合う彼氏を作る方法」という記事に注目が集まり、ディズニーシーはカップルで溢れる。

ある程度の年齢になれば、小さい子どもがいない限り、あまり興味のない「うかれた平日」くらいなものかもしれない。それでも、クリスマスにかこつけて飲み会に行くこともあるだろう。そこには、宗教的な要素はまったくない。

また、クリスマスはケンタッキーが張り切る時期でもある。数年前、日本に留学したドイツ人の友人から、行列ができているケンタッキーの写真が送られてきた。「日本ではクリスマスといえばKFC(ドイツではこう呼ぶ)なんだって! ウケる!」のだそうだ。

たしかにそうだ。ウケる。なんでクリスチャンでもないのに、教会に行くわけでもないのに、わたしたちはこんなにクリスマスを意識しているのだろう。