スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽

大儲けして、お咎めなしって…
藤田 知也

悪徳業者は次のカモを探している

筆者が8月に取材したときは、東京都不動産業課は「通報や苦情が寄せられていない」といい、国交省不動産業課は「個別の状況をみて必要に応じて判断する」とコメントしていた。「不正の認定は難しく、慎重でなければならない」と言う担当者もいた。

しかし、多くの業者が犯罪同然の不正に手を染めていたことは、オーナーの弁護団が開示してきた資料からも自明のこと。スルガ銀が公表した調査報告書でも明確になった。すこし調べれば、いくらでも証拠は集まるが、それをしようとしない行政はあえて目をつぶっているようにさえ映る。

業者が不正をしてまで過剰な融資を引き出したのは、物件価格を釣り上げ、法外な利益をせしめるのが目的だ。

 

シェアハウスや中古1棟マンション投資では、仕入れ値に比べて売値を3割から5割も高くするケースが多かった。ウソの家賃保証やレントロールで客の目を欺けば、億単位の物件を一つ売るたびに3千万~5千万円も転がってくる。誘惑が大きかったのは間違いないだろう。

スルガ銀は業務停止処分を受けて多額の損失も計上し、顧客らの手元には割高な物件と重たい借金が残された。

その一方で不正融資をテコに大儲けした業者たちは、何のお咎めもなく高笑いしている。ある業者は店じまいをして悠々自適に過ごし、別の業者は名前を変えて次のカモを物色している。

「この業界、腐りきってますよね」。同じセリフが業者の口から自嘲気味に吐き出されるのを何度も聞いてきた。不正に走る業者が得し、マジメな業者がバカを見る状況に、諦観の念が渦巻いている。

何度か新聞紙面でも問題提起をしたが、状況は変わらず、悪質な業者は「野放し」のままだ。このまま行政はなにも手を打たず、不正を容認するような態度をとり続けるつもりなのだろうか。

そうだとすると、言えることは一つしかない。不動産投資の世界は、ウソと欲望にまみれた魑魅魍魎が跋扈している。いちど足をすくわれると、それまでの平穏な生活はたちまち暗転する。「ちょっとした老後の資産形成に」といった程度の生半可な気持ちで手を出せば、間違いなく食いものにされるということだ。

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