スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽

大儲けして、お咎めなしって…
藤田 知也

誰も責任追及されなかった

スルガ銀で横行した不正融資とは、顧客の年収や貯蓄を水増しした融資資料を偽造し、本来は審査の条件を満たさないような顧客に多額の融資を引き出させるものだ。銀行員が不正の片棒を担ぐスルガ銀の場合は、顧客が知らないうちに年収や貯蓄が水増しされていた例も多い。

不正を主導したのが銀行なのか不動産業者なのかは立場によって評価が分かれるが、少なくとも預金通帳、ネットバンキング画面、源泉徴収票、確定申告書といった書類を偽造しまくった実行役は、不動産業者にほかならない。私文書偽造や詐欺の罪にも問われかねない悪質な行為だが、その多くは東京都や国土交通省から宅地建物取引業の免許を交付されている。

 

宅地建物取引業法では、不動産業者が取引関係者に損害を与えたり、取引の公正を害したりした場合などは処分の対象になるとしている。書類を偽造し、過剰な融資を引き出す行為が、取引の公正さを害し、関係者に損害を与えるものであることは、結果をみても明らかだろう。

シェアハウス投資では、スルガ銀で融資を受けた1200人超の顧客のほとんどが預金通帳の写しなどの審査資料を改ざんされていた。その販売にかかわった業者の数は100社を下らない。

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中古1棟マンション投資では、現状の入居率や家賃を記した家賃収入表(レントロール)も改ざんし、ウソを通すために賃貸契約書まで捏造されていた。ある業者では、従業員同士がサインをし合って契約書をつくりまくっていたという。

スルガ銀以外でも、三井住友銀行やりそな銀行、静岡銀行、西京銀行(山口県)、西武信用金庫(東京都)などで、業者による不正を見抜けずに融資を実行した例が取材で確認されている。業者が銀行をだまして不正を働くケースが多く、なかにはネット上にメガバンクのネットバンキング画面そっくりのホームページを作り込み、顧客の貯蓄が多いように偽装していた業者までいた。

それにもかかわらず、業者が責任を追及されることはほとんどない。不正が横行する実態を朝日新聞で最初に報じた2月13日以降、不動産業者を監督する立場にある国土交通省や東京都が、銀行融資での不正を理由に行政処分を下した例は11月末時点ではまだ一つもない。これはどういうことなのか。

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