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スルガ銀行事件で暗躍した「悪徳不動産業者」が野放し状態の理不尽

大儲けして、お咎めなしって…

地方銀行のなかでずば抜けた高収益を誇っていたスルガ銀行。2018年に不正にまみれた不動産投資向け融資の実態を暴かれ、その代償として巨額損失を計上し、銀行としての信用も地に落ちた。

その裏で不正の実行役として暴利を貪りながら、お咎めをまったく受けない不動産業者たちがいる。スルガ銀行の不正融資をスクープしてきた新聞記者が、悪徳業者を”野放し”にしている不動産行政の怠慢ぶりを告発する。

スルガ銀行は変わったのか

スルガ銀行が11月30日に公表した業務改善計画は、不動産投資向け融資で発覚した一連の不祥事へのケジメのつけ方を示すものだった。

金融庁からは不動産投資向け融資で6カ月間の業務停止命令を受けると同時に、11月末までに業務改善計画を出すよう求められていた。来年4月までの業務停止期間中に、不正はしない、真っ当な銀行に立ち返ってもらうことが眼目にある。

一方で銀行中に不正を蔓延させたことの経営責任を問うため、創業家出身の岡野光喜前会長を含む現旧役員9人に対しては、総額35億円の損害賠償請求訴訟が静岡地裁に提起された。

 

計画公表に先だつ11月27日には、問題を把握しながらシェアハウス向け融資の拡大を主導した専務執行役員を懲戒解雇し、執行役員12人を含む計117人の行員には降格や減給などの懲戒処分を下した。ただ、不正が「組織的」だったことを理由に行員らの刑事責任は問わず、懲戒処分も退職済みの行員には及ばない。

処分された行員の懲戒事由には、レントロール(家賃収入)の改ざんに自ら手を染めるなど直接関与したのが13人いたものの、貯蓄や年収の水増しに直接関与した事例は「確認できなかった」(有国三知男社長)としている。

これまでの取材では、業者が偽造した預金通帳を添削し、修正を求めて出し直させる行員が複数いた。オーナー弁護団からは、通帳を偽造できる業者を紹介する行員との会話を録音した音声データが公開された。証拠まではつかめないものの、業者から100万円単位の謝礼を受け取っていた行員がいる、との情報もある。

それに比べると、スルガ銀行の懲戒事由は甘い気がしないでもないが、不正への関与が組織的だったと認定された銀行自身が今期決算で1000億円規模の赤字を計上することを考えれば、相応のしっぺ返しを受けていると評価することもできなくはない。

創業家のファミリー企業への不透明な融資に対する追及はまだこれからだが、全行員を対象に「法令を守る」という銀行員としての基礎(?)をたたきこむ研修を実施するというから、不正が当たり前になった組織が本当に生まれ変われるかどうか、今後を見守るしかない。

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前長官がスルガ銀をベタ褒めしていた金融庁は「反省すべきを反省する」(遠藤俊英長官)と表明し、不動産融資に対する監督を強化。不正を見過ごした金融機関への立ち入り検査にも動いている。

少なくとも金融業界は、不動産投資向け融資の現場で不正が見過ごされていたことを反省し、いまは不正を通さない態勢づくりに注力している。

対照的なのが不動産業界である。