お金の心配をせずに、安心して老後生活が送ることができ、しかも、運用などで失敗するリスクもない究極の方法がある――。うさん臭く聞こえるかもしれませんが、本当です。
雑誌やインターネットなどの「老後のお金」に関しての記事では、老後資金(預貯金や退職金などの手元資金)の運用のすすめが書かれています。その方法とは、投資信託であったり、株式であったり、不動産投資だったり、債券などの投資商品です。
これまでに投資の経験が豊富な人にとっては、リスクについても理解できると思いますが、そうした経験のない人が、いきなり運用するのはとても危険なことです。
しかも、それが老後資金だった場合、取り返しがつかない恐れも。また、投資経験のない人が急に手を出して、たいていは失敗して資産を減らしてしまうことが多いのです。
拙著『老後資金は貯めるな!』の発想は逆です。老後資金は運用などをせずに使ってしまおう、という考えです。「それでは老後破綻まっしぐらじゃないか!」なんて慌てないでください。
蓄えは、なるべく年金受給を70歳まで遅らせ、そのスタートまでの“つなぎ”に使います。いってみれば、老後資金をより安全で効率のいい公的年金という資産に移し替えるのです。こうすると、先々の暮らしに安心感が生まれます。
コツは、公的な年金制度をフル活用すること。つまり年金を“信頼”するのです。
よく「年金は崩壊する」という話もありますが、年金の受給額は減ったとしても、「崩壊」するというのは考えにくいです。なぜなら、年金が崩壊すると「生活保護者」が増大することになり、税金からの負担がもっとかかることになります。ですので、政府は年金制度をなんとしても維持をするはずです。
老後資金の主要部分は、いうまでもなく公的年金です。じつは、年金制度をよく理解することが、老後生活を余裕のあるものにするカギなのです。
逆に、年金制度をあまり理解していないと、損をしてしまうこともあります。
たとえば年金は、自分で申告をしないと受け取ることができません。黙っていても自動的に振り込まれるわけではないのです。その一方で、上手に活用すれば年金受給額を42%増やすことだってできます!
年金制度の活用術ひとつで「人生100年時代」に対応した老後資金をつくることが可能なのです。