【独占告白】高橋由伸「これからの僕の『新しい夢』を語ろう」

初めて語る「胸の内」と「第二の人生」
田中 大貴 プロフィール

「巨人の野球」しか知らない

――さて、これから具体的に「やりたいこと」はありますか?

高橋 これから色んな人と話すだろうから、正解なんてあるようでないようなものなんだけど。自分がやってきたことが正しかったか正しくなかったか、この3年間を振り返る時期にもなるだろうと思いますね。

とにかく今まで僕は「巨人の野球」しか見てないからね。シーズンオフとか負けた後以外は他のチームの中継だって観られないわけで、誰がどんな解説してどんなこと言っているとかも知らないでしょう。まずは野球だけでも違った角度からみることができるよね。

――野球は軸にしていくんですね。解説はやるんですか。

高橋 やる。

――どういう風にやるんですか。データなのか、精神論なのか、いろんなタイプの方がいらっしゃると思いますが。

高橋 ついこの間まで監督だったから監督目線にはなっちゃうかもしれないね。

――いい意味で、厳しい解説になるのではないでしょうか。冷静な目での解説をしてほしいなと僕は思います。プロ野球解説者のなかには、感覚で話される方も多いので、冷静かつ厳しさをもった解説も必要ではないかと思っています。

高橋 そうですね。厳しいかどうかは別として、監督として培った視点から、選手のこと、試合のことを冷静に解説したいですよね。ただ、どのチームであれ監督には優しくなってしまうかもしれない(笑)。監督経験者で野球の解説をされている方がいるじゃない? たまに実況解説者が試合前にご挨拶に来られることがあるんだけど、監督経験者はみなさん僕に対して優しいんですよ(笑)。大変さを知っているから。

皆さんが思っている以上に監督は野球のこと、チームのことを多角的に考えています。そうした視点を伝えることで、ファンの方々に野球の「新たな魅力」を知ってほしいと思います。

野球は「好き」か「ビジネス」か

――現役の時と監督の時で立場が違うと思うんですけれど、由伸さんは野球のことを「ビジネス」だと思っていますか。

高橋 表現が難しいけれど……実際にお金をもらうわけだから、やっぱり「仕事」だよね。プレーの内容によってお金が変わる、ある意味わかりやすい仕事。「仕事だ仕事だ」と言ってもいいものなのかなとも思うんだけれど、仕事だからこそ、好きとか嫌いよりも「責任」が必要になってくる。

――もともと、好きで野球を始めたんですよね。

高橋 もちろん好きからはじまったものだと思うんですけど、だんだん好きか嫌いかわからなくなっていった時期もあったね(笑)。好きなんだけど他のこともしたい、練習は行きたくない、なんて思いながら、「親のため」とやった時期もありました。期待されるから余計にやりがいもあるし。期待されるから期待にこたえたいと思っていたこともあったと思います。

プロに入ったぐらいからかな……野球を「仕事」としてやるようになってからは、「自分のため」「ファンのため」になりましたよね。

――「ビジネス」といえば、同級生や同世代のビジネスマンから受ける刺激はありますか。

高橋 いままでは刺激というよりも、自分に対していい「戒め」になっていました。自分はずっと野球を続けていたけれど、同級生のみんなはそれぞれ企業に入って、新しい仕事をゼロから始めて。僕はプロの世界に入ってすぐ、どちらかといえば華やかなところに出ていて、調子にのっていた部分もあったと思うんだけど、時々彼らと一緒に過ごすことで、昔の謙虚な頃の自分を思い出す……つまり「初心」を忘れないようにはできていたのではないかな。

今は会社のなかでどんどん偉くなったやつもいれば、転職して起業する人もいて、ちょうどみんなが「第二の人生」を歩み始める年齢。これまで僕はあまり環境が変わることがなかったけど、みんなの周りは急に変化している。その変化にどんな心構えをして臨んでいるのかとか、そういう話を聞くと勉強になるし、刺激を受けるよね。

刺激でもあるけれど、昔からの仲間と一緒にいるのことが落ち着くし、気分転換になるから、選手の時からよく会っていました。野球と違った場所があったことが、非常に良かったと思いますね。

――影響を受け、スポーツと関係ないこともやるかもしれない?

高橋 可能性はゼロじゃないですよね。もしかしたら、やるかもしれない。

――いろんな場所には行きたいって言っていましたよね。

高橋 なにせ、日本国内でも「野球のあるところ」しか行けていないんだよ。だから、いまだに行ったことのない都道府県もあるしね。そんなところへ行くのだって、これまでは出来なかった新しいことなんだから、楽しみが広がるよね。

――全国で講演をしていったらいいかもしれませんよ!

また巨人のユニフォームを…?

――僕がフジテレビをやめる時、神宮で由伸さんに退社の報告をしたら、『生きていくって大変だからな』って言われましたね。由伸さんは「大変」でしたか?

高橋 これからが大変だろうね。本当に「第二の人生」だから。まったく今までとも違うだろうし。監督をやることになった時よりも、さらに想像がついてない。どんな生活、どんな時間の流れ方、どんなふうに時間が経って行くんだろうって。

まずは年明けからかな。何をしますかね……。2月にはたぶんスーツを着て宮崎に行くだろうし。

――野球界以外からもいろんなヒントを得られるでしょうね。

高橋 それは非常に楽しみにしていて。もっと外に出ていろんな人の話を聞いていきたい。今までも違う世界の人と話をしていたけど、自分が選手や監督という立場の時には、もしかしたら変に自分のプライドがあって、邪魔をしていたかもしれないんですよね。立場が変わればものの見え方も変わるし、耳に入ってくる入り方も違うでしょう。

――最終的にまたジャイアンツに戻ってきた時に、よりパワーアップしていくように、これからの時代を考えるということですかね。

高橋 うん。そこに戻ることが「目標」じゃないんだけど……、目標じゃないっていうか、まだ(ユニフォームを着ることが)決まっているわけではないし。

とにかく、非常に狭い世界で生きてきた人間なんで、今はもうちょっと幅広く違う世界のことを見ていきたいなと思いますね。これから先、どんな選択肢を選ぶにせよ、違う世界を見て学んだこと、知ったこと、身に着けたことが必ず生きると思う。いまからどんなことが学べるのか、とても楽しみなんですよ。