# 医療費

調剤薬局でもらうクスリはなぜあんなに高く思えるのか

医療費42兆円の18%を占めるおいしい商売
野田 利樹 プロフィール

最新トレンドは「院内回帰」!?

調剤薬局が増加したのは厚生労働省が「医薬分業」を進めたからだ。増加する一方の薬剤費に歯止めをかけるために医療機関から調剤収入を取り上げて、利益が調剤産業に回るようにした、というのが医薬分業の簡単な構図だ。

 

これには患者さんの側にもメリットがあるとされた。医薬分業によって複数の病院や複数の病気の薬剤処方を一括管理し、重複投与や過剰投与をチェックすることにより患者さんの安全性向上に寄与する。しかし、そのためには患者さんが「かかりつけ薬局」をもって複数の病院の処方箋を一つの薬局で管理してもらう必要があるが、現実には目論んだようにはなっていない。

現状は大きな病院が数多くの門前薬局を抱え、門前薬局は病院に寄生する形となっている。患者さんは、それぞれの病院に通院するごとにその門前薬局に行くから、薬の一括管理などできようはずもない。

薬の専門家がチェックするため院外処方は安全性が高まる、という主張も疑問だ。院内処方ではその病院内の処方しか取り扱わず、薬剤師にとって見慣れない処方が発生することが少なく、経験蓄積により安全管理のレベルが上がる面もある。

現実に調剤薬局の薬剤師は、病院の薬剤師ほど知識・経験レベルが高くないと言われている。

「損」をしないために患者にできることは?

医薬分業は、日本の調剤産業の売り上げを増やしただけに終わった。結果、相変わらず調剤費はどんどん増えている。

では患者さんはどうしたらいいのか? 院内処方の病院を可能な限り利用することだ。

見慣れた存在になった調剤薬局だが、一方で現在でも院内処方している病院や診療所がまだ3割もある。こうした病院を利用して、できるだけ調剤薬局を使わないようにする。院外処方の病院でなければダメな特殊な病気はともかく、どの病院でもいいような場合にはメリットが大きい。

なにより出費が減るのはすでに述べた。さらに院内処方の病院には、薬が出るまで時間がかかるデメリットはあるものの、患者さんにとっては治療・投薬の精算が一度で済むメリットがある。また調剤薬局の多くは昼間しか空いていないが、院内なら時間外でも薬を受け取れる場合もある。

いまでは当たり前になった院外処方に、揺り戻しと言うべきか、最近では院内処方に戻した例も登場している。もちろんそれは、調剤報酬など病院側の都合によるものではあるが、患者さんも自らの懐具合を考えるなら「院内回帰」したほうがいいかも知れない。また、「健康保険で安くなるから」とムダな薬を貰わないようにすれば、自身の出費もセーブできるだけでなく、日本全体の医療費の節約にもなるのである。