あなたの価値を数値化する「評価経済」への違和感

連載ルポ:お金の正体⑤
海猫沢 めろん プロフィール

小飼: というよりもむしろ思わぬ人から助けを貰えたと。お金がもらえたことよりも、思わぬコネができたことを喜んでいる方がいっぱいいらっしゃいますね。

VALUというのは確かに、personal equity(個人株主)をやり取りする場所でもあるんですが、それ自身もソーシャルネットワークでもあって、どちらかというと、これまでのアップデートというのは、そこの部分をよくしていくところに注ぎ込まれてきたというところがあるので。

 

「資本主義、本気出せ!」

——なるほど。VALU自体のシステムはわかりましたが、評価経済全体としてはどうでしょうか。ぼくは評価経済があまり好きじゃないんですが、その理由のひとつに再配分できないという部分があります。お金なら配ればいいけど、評価自体は個人のものなので配れないという点も気になってます。

小飼: もし評価経済を認めるのであれば、そうでない現行経済の方で受ける再配分というのは強めないといけないなと思っています。評価経済が良い悪いはおいておいて、それが行き渡るのであればなおのこと。

——要はバランスですね。でもやっぱりぼくはVALUを使ってて、苦手だなと思うんですよ。こういうので自分の値段を吊り上げなきゃいけないから、何か良いことを言わなきゃとか、優待をつけないととか、つらい!

小飼: 自分の価値を上げるために、いろんな優待を設定しなければいけないというふうに思ってらっしゃる方もいますが、実は繰り返し使えるクラウドファンディングとしても機能できるはずなんですよね。

クラウドファンディングというのは、お金を集めちゃったら基本的にそれっきりなわけですよね。それで物を作ってくれるのかもしれないですけども、ポシャっても仕方がないわけです。でもVALUの場合は、買い戻しもできるんですよ。永続性があるんですよね、そこで。

——そういう使い方は面白そうですが、それでもやっぱり信用が基本なんですよね。そこがなあ……ところで、そもそもVALUというサービスは何を目的としているんですか?

小飼 物凄いぶっきら棒なことをいうと、”Power to the People”(ジョン・レノンの楽曲)ですよ。

——どういうことですか?

小飼 資本主義ちゃんと本気出せ! っていうメッセージの1つなんじゃないかなと。

資本主義、本気出せ! すごいパワーワードだがさっぱりわからない……どういうことなのだろうか。

小飼 資本主義というのは、要は資本を持っている、資本を出した人が出しただけ意見を言える。それ以上のことでもそれ以下のことでもないんです。だから、資本を出した人がつまんないことしか言わないのであれば、やっぱりつまんないことしか起きないんですよ。

別の言い方をすると、資本を持っている人以上に、面白くなりようがないという見方もできますからね。ほとんどの資本家は、資本を持ってるくせに、もっと資本を増やせとしか言ってないんですよね。だからつまんないんですよ。資本家がしょぼいの。

資本家がしょぼい……そうなのか……。ぼくのまわりに資本家がいないのでわからないのだが、自分が資本家になったとしてもうまく大金を使いこなせるかはかなり疑問だ。

(つづく)