あなたの価値を数値化する「評価経済」への違和感

連載ルポ:お金の正体⑤
海猫沢 めろん プロフィール

評価経済への違和感

信用というキーワードが出てきたので、続いて「信用」を使ったシステムについて聞いてみたい。

小飼さんも関係する「VALU」についてだ。

前回も説明したが、「VALU」というのはネット上でその人の価値や信用に値段をつけるサービスであり、評価経済そのものである。

あらかじめ言っておくと、ぼくは評価経済にはずっと違和感があって昔から好きじゃない。むしろすごく嫌いだ。

というのも、ぼくの周りは自分も含めて信用できないダメ人間が多い。でもそういう奴等でも生きていって、お金を稼げるほうがいい社会だと思っている。ところが評価経済の世界では、ちゃんと評価される信用できる人間か、有名人にならないといけない。なんか面倒な世界だな……としか思えないのである。

——小飼さんはVALUのリードプログラマーですよね。それについてちょっと聞きたいんです。

VALUでやってることは、評価経済と信用を数値にして分割譲渡するみたいなことじゃないですか。簡単に言えば、なんでもいいから価値をつけて、割って、みんなで売買できるようにするっていうアイデア。これができればなんでも証券化できちゃうじゃん! というところから始まってると思うんです。

小飼: そうです。発想は確かに単純なんですよ。法人が株を発行して資金調達できるのであれば、何で個人ではできないの? という。ただ、例えばこれを日本円でやったら、明らかに出資法違反なんです。

——そうですよね。

 

小飼: だけど、これをビットコインという「通貨でないもの」に仲立ちさせたらどうなるだろう? という発想ですね。

そこで、問題になるのはやっぱり数値化です。例えばVALUの時価総額というのも一種の数値化ではあるんですけど、本当にこの値段なの?と言われると、ちょっと首を傾げるところあります。

これはVALUに限らず時価総額という言葉そのものが、マーケットエコノミーの中ではすごいヘンテコな言葉だからなんです。なぜかというと、例えばある時価総額10兆円の会社の10%、1兆円相当の株を持っている人達がいたとして、それをいっぺんに売りに出したら、その値段で売れますか? という話なんですよ。

ここで小飼さんが言ってるのはこういうことだ。

時価1兆円の株が1兆株そのまま売りに出されたとしたら、たいていその株の価値は下がる。

なぜなら、そんなに大量に売るということはなんらかの問題があり、その価値が「上がらない」と判断した結果だからだ。つまり10億円の時価というのは、あくまで仮想であって、現実の値段ではないということだ。

——VALUが最初に出た時はけっこう話題になって、ヒカルさんの事件とかがあって、いろんなルールが改正されたと思うんですよ。今、VALUはどういうふうになってるんですか?

ヒカルさんの事件というのは、2017年にYouTuberのヒカルさんが、同じYouTuberのラファエルさん、禁断ボーイズのいっくんらと組んで、不当に期待をあおってVALUの値段を釣り上げ、自分のVALUを高値で売り抜けた事件のことだ。これにより、ヒカルさんは4000万、他の2人は1000万程度の利益を得たという(https://dot.asahi.com/dot/2017090200042.html?page=1)。

後にヒカルさんは謝罪動画もあげて、あくまで動画はネタのためだったという説明をしたが、大きな問題となった。

小飼: 審査は当然のように厳しくはなりました。ユーザーはいろいろな方がいらっしゃいますけど、楽しんでらっしゃる方っていうのは、本当に楽しそうにやってます。

——それは自分の価値が上がるのが楽しいということなんでしょうか?