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財産3億円を残して「孤独死」したおひとりさまの悲劇

年間440憶円もの財産が国のものに

私は相続対策のご提案とサポートをする夢相続を運営しており、いままでに1万4000人以上の相続相談を受けて、アドバイスやサポートをしてきました。相続は個々に事情が違うため、相談相手としてお会いして状況をお話頂くところからスタートします。

相続されるご家族は多様化しており、離婚や再婚はめずらしいことではなくなりました。配偶者やこどもがいない方も増えてきましたので、相続のあり方も多様化しています。

また最近はおひとりさまが増えており、そのうえ、1人っ子という方もあります。もめる相手がいないから問題ないかと思うと大間違いです。今回は、そんなおひとりさまの相続で残念だったケースをご紹介します。

独身で一人暮らしだった

ご両親の相続税の申告や賃貸併用住宅の建築のコーディネートをさせていただいたI様が昨年、孤独死されました。70歳の男性です。

独身で、自宅でひとり暮らしをしておられました。新聞がたまっているのを配達員が不審に思い、警察に通報して、室内で亡くなっているのが発見されたのです。

I様は、8年前に父親が亡くなったときに、書籍を読んで私のオフィスに相談に来られました。父親の財産は120坪の土地に自宅、アパート、貸家、駐車場があり、預金など合わせると3億円ほどになり、相続税の申告が必要でした。相続人は母親とI様の二人で、配偶者の特例を生かすようにして節税しました。

合わせて母親の二次相続対策のために自宅を建て替えることをご提案しました。豪華な自宅はいらないと言って、賃貸併用住宅にし、母親の生活を考えると自宅は1階として、1階1部屋、2階3部屋の賃貸住宅が出来上がりました。

建築費は借入することなく、所有する母親の現金を充当。現金を建物に変えるだけでも半分以上も評価が下がり、節税効果が高いのです。建て替えた自宅は快適だと喜んでおられました。

 

質素な生活スタイル

母親はほどなく亡くなってしまい、I様はいよいよひとりになってしまわれたのです。父親の相続手続きのときに知ったことですが、I様には弟さんがおられました。けれども、その弟さんは独身で、40代後半に父親よりも先に亡くなっていたのです。よってご両親が亡くなった後は、おひとりさま、1人っ子の状態でした。

I様は65歳まで会社員として勤務して、その後はリタイヤされましたが、年金と家賃収入が入ります。それ以上にどんどん使って財産を減らすことも生き方のひとつですので、旅行や趣味にどんどん使いましょうともアドバイスしていました。

I様は不動産だけでなく、預金も1億円近くお持ちなのに、車を買い替える時も、国産車。ご両親も質素な生活をしてこられたようで、そうした生活が身についているのでしょう。財産を残す相続人がいない状況ですから、もっと割り切ってどんどん使ってしまうようにされてもいいのにと思っておりましたが、使われないので減る要素がありませんでした。