何千億円もムダにしてきた「官民ファンド」失敗の歴史をご存じか?

産業革新投資機構の崩壊で再認識

そもそも官には無理な話だ

去る15日(土)にAbemaTVで放送された『みのもんたのよるバズ』に出演した。テーマは「官民ファンド」についてだ(https://news-yorubuzz.abema.tv/pages/459579/program)。もちろん、先日、産業革新投資機構(JIC)の「紛争」があったことを受けてだ。

この問題は世間的には、産業革新投資機構(JIC)の役員報酬を巡って、役員と経産省が対立したことに関心が集まっているが、問題の本質は報酬の高さではない。正確に言えば「報酬が問題になること」こそ問題なのだ。「民のファンド」なら、報酬の多寡は問題にならない。「官」が入り込むから問題になる、ということだ。

この問題についての筆者の主張はシンプルだ。株式投資はそもそも官ではできない。それを無理矢理やろうとして、民間から人を連れてきて官民ファンドを作ったのである。そんなものはもともとが無理なスキームなので、この際、官民ファンドを廃止すべきだと考えている。前身の産業革新機構を、時が来れば解消する「時限措置」としたのに、経産官僚がそれを延長し、看板を掛け替えて機構を温存し続けたい、と企んだのがそもそもの問題だ。

株式投資が官ではできない、というのは、二つの理由からだ。まず、役人の能力の問題である。もうひとつは公的資金の扱いについての民主主義プロセスの問題だ。

 

まず、役人になった人というのは、民間の企業活動に不向きであるからなった、という人が圧倒的に多い。そのうえ中央省庁の役人になったら、基本的には個人で株式運用を行うことは制限されるので、株式投資経験もない。そんな役人に株式運用ができるはずはない。

次に、官が関わるファンドでは公的資金を扱うので、資金の扱いに一定の手続きを経ねばならず、そのために結構な時間が必要になる(これは、公的資金であるのでやむを得ない)。株式運用では即断即決が求められるのに、そもそもそれがやりにくいのだ。

「官民ファンド」を作って民間から人を持ってきても、役人の能力不足を補えたところで、結局は公的資金を扱うための手続きをきちんと踏まなければならないので、時間の問題を克服できない。だから、官民ファンドというスキーム自体が無理があるのだ。

番組内では筆者はこのようにシンプルな主張を行ったが、一緒に出演していた元経産官僚の石川和男氏は、官民ファンドの有用性を主張するはずだったが、弱ったようだった。

司会のみのもんた氏も、番組の最後には「官民ファンドはやめたほうがいい」と言っていた。番組途中でも、官民ファンドがどの会社に投資するかで、不公平が生まれるのではないのかという鋭い質問をしていた。公的資金なのに、民主主義プロセスでは容認できない「不公平」を内在しているのではないかということをついた質問だった。これについて、石川氏は答えに窮していた。

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