# 飲食店

「ガトーショコラ」だけで年商3億円を実現したシェフのすごい秘密

営業不振を打開できた「ある気づき」
氏家 健治 プロフィール

「絞り込み」が功を奏した

ケンズカフェ東京では1本13センチ、3000円のガトーショコラだけを作り販売しています。サイズ違いもなければ、味のバリエーションもありません。正真正銘、1つのガトーショコラだけに全精力を注ぎ込んだ結果、「いいこと」がたくさんありました。

Photo by iStock

まず、真っ先に挙げたいことは、商品が磨き上げられるという点です。ガトーショコラだけに力を注ぎ、ダントツの味、圧倒的な商品力を追求することができるのです。

現に私は何度もチョコレートやバターなどの材料やパッケージを見直し、最高級を目指してきました。その結果、ガトーショコラはどんなところに手土産として持っていっても恥ずかしくないスイーツに仕上がっています。

外務省の元高官に気に入っていただいたことをきっかけに、現在、ガトーショコラは世界50カ国以上の駐日大使に定期的な贈り物として届けられていますが、それは高級ギフトにふさわしい商品力を備えているからです。

プロダクトの絞り込み効果として見逃せないのは、廃棄ロスと販売機会ロスがなくなったことです。

売れ残りを廃棄すると1円の利益にもならないどころか、材料費や手間がかかっているので収支としてはマイナスです。

廃棄ロスを減らそうと最初から作る数を少なくすると、今度は販売機会ロスが発生します。せっかくお客様が来店されても「売り切れ」が多いとがっかりされることは必至。度重なれば店離れを起こしてしまうでしょう。製造業にとって悩ましい点です。

 

廃棄ロスと販売機会ロスを同時に減らすことは容易ではありませんが、その点、私の店ではガトーショコラしか作っていないので生産個数をコントロールすることが容易です。

売れ残らず、しかも、買いに来られたお客様に売り切れを告げずにすむには、毎日何個ガトーショコラを焼けばいいのか、かなり的確に予測できています。

これが何種類もの商品があったとしたら、どうでしょう? 適切な生産個数を予測するのはかなり難しくなります。商品Aは作りすぎて廃棄した、商品Bは足りなくて販売機会ロスを生んだ、などと無駄を招きがちなのではないでしょうか。

プロダクトを絞り込んだ結果、データの分析も容易になりました。どの商品がいつ何個売れたのか。販売データの分析は次なる戦略を立てる上での重要なプロセスですが、商品数が多くなると分析は難しくなります。

その点、私の店では商品がガトーショコラだけなので、出てくるデータの分析はミニマムで簡単です。

どこから店のホームページに流入したのか、リンク元はどこか、どんなキーワードで検索してたどり着いたのか、滞在時間や離脱率、ホームページ内のどんなページを読んでいるのか。ツイッターやインスタグラムからの流入、口コミ検索の動向なども浮き彫りになります。こんなにわかりやすいことはありません。

常に1つの商品の動きだけを見ていられるので、やることには無駄がありません。

情報は手にした者が勝ち。データを手にするということは「己」を知るということです。「己」が複数あるとどうしても戦力が分散してしまいますが、商品が絞り込まれていれば手にしたデータの解析だけに戦力を集中できる。絞り込みの大きな効果です。

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