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北千住が「穴場の街ランキング」4年連続1位に輝いたヒミツ

読めばあなたも住みたくなる
何かとマイナスイメージを持たれがちな足立区。ところが近年、東京23区で「定住率ナンバーワン」を誇るなど、その住みやすさから再評価が進んでいる。いったい足立区に何が起きているのか? 『なぜか惹かれる足立区』(ワニブックス刊)の著者で、一般社団法人「東京23区研究所」所長の池田利道氏に、「穴場の街ランキング」4年連続1位に輝いた足立区の中心地・北千住の隠れた魅力について語ってもらった。

穴場どころか「大本命」?

一部のメディアが猪突猛進するウケ狙いの足立いじめはともかくとして、例えば足立区と港区を比べて面白がるといった「足立プチいじり」の企画は、マスメディアの定番メニューのひとつとなっている。

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だが、足立区には多くの人が住み、さらにその関係者を足し合わせると膨大な数に及ぶ。無責任な言いっぱなしが許されるネット情報とは異なり、マスメディアとしては何とか話に落ちをつけ、「足立も捨てたものじゃない」と収めねばならない。

そこで、株式会社リクルート住まいカンパニー(以下「リクルート社」と略称する)の調査において、4年連続「穴場のまち」のトップを走り続けている千住(*最終ページの「注」もご参照ください)の出番となる。

だが、「穴場」とは一体何なのだろうか。リクルート社によると、交通利便性や生活利便性が高いにもかかわらず、家賃や物価が割安のイメージがあるところを「穴場」と呼ぶそうだ。

なるほど北千住はJR常磐線、東武スカイツリーライン(伊勢崎線)、つくばエクスプレス、東京メトロの千代田線と日比谷線の5本の鉄道(東武線との相互乗り入れを含めると半蔵門線も加わる)が集まる交通の要衝である。

しかも都心にきわめて近い。上野東京ラインに乗れば、東京まで15分。千代田線で大手町まで同じく15分程度。生活の便利さも折り紙つきだ。

イトーヨーカドー発祥の地とされた千住店(ザ・プライス千住店)やダイエーの北千住店(トポス北千住店)は閉店したが、駅の東西両側に広がる商店街は東京でも屈指の賑わいを保ち続けている。家賃は1K・1DKで5万円程度、2LDK・3LDKで8万円程度(リクルート社による2018年2月時点の月額相場)。

 

ザ・プライスやトポスといったディスカウントスーパーと伍してきた商店街は、価格と質とサービスを掛け合わせた総合的なコストパフォーマンスにおいて、申し分がないからこそ生き残れてきた。庶民感覚に照らすなら、これだけ揃っていれば「『穴場』ではなく『本命』だろう」といいたくなる。

筆者が、東京23区の山手線の外側で、中心部と郊外部を結ぶ鉄道28路線の243駅を比較分析したところ、駅勢圏(その駅を利用する人が住む区域)の人口が2010年~2015年の5年間で最も増えたのは、駅前の工場跡地で再開発が進む京成本線の千住大橋。

まちの将来性を占う上で大きなカギを握るとされる30 代のファミリー層人口に限ると、2位の代官山(15.8%増)以下をぶっちぎる圧倒的トップ(54.3%増)を示したのも千住大橋だった。こうなると、もう「大本命」だ。

しかし、いかにお買い得であっても、千住は本命にはなれない。理由はブランド力が落ちるから。ここにもまた、ブランドという枠組み先行の考えが顔を出してくる。かくして千住は、いつまでたっても穴場止まりという宙ぶらりんな状態を抜け出すことができないままとなる。