結婚の「経済的メリット」
女性は、出産・子育て、パートナーの転勤などで、仕事を変えたり、「働き方」を変えたりせざるを得ないことも多いと思います。

「家庭」と「仕事」のバランスをどう取るかは、もちろん人それぞれです。子供を持つか持たないか、結婚するかしないかも、それぞれの家庭や個人の自由です。
とはいえ、女性が「キャリア形成」を考える時は、自分の年齢、パートナーの仕事、職場の「仕事と育児の両立支援」が十分でない場合はどうするか……など、「考えなければならないこと」がたくさんあります。
それでも、生涯賃金、ひいては老後に受給する年金のことを考えれば、石に齧りついてでも離職することは避け、子育てをする時も産休育休を取得して働き続けられるよう、あらゆる方策を検討してほしいと私は思っています。
最近、20代、30代の女性たちと話をしていると、
「結婚より仕事。だって、仕事は裏切らないですから」
「別にひとりでも困らないし、仕事をしっかりしていけばいいと思っています」
「結婚は特にしたいとは思わないけれど、子供だけは欲しい」
といったご意見をしばしば聞きます。
実際、私の周りでも、バリバリ仕事をしているキャリア女性は未婚であることが多いようです。
しかし、結婚することの経済的メリットも、ぜひ考えてみてください。もちろん結婚は経済的な面だけを見てするものではありませんが、ここではお金のことに限って考えてみたいと思います。
例えば、現在35歳で、今後の平均手取り年収は450万円の女性、A子さんの「必要貯蓄率」(月収に対して毎月貯蓄しなければならない率)は23.73%です。これを守れば、老後は、毎月約20万円で生活することができます。
このまま働き続ければ、シングルでやっていくことは可能です。
でも、仮に、同じ年齢で平均手取り年収600万円の会社員B介さんと結婚したとしましょう。2人の収入や資産、年金額を合算し、老後生活費率を50%に下げて「必要貯蓄率」を求めると、12.77%です。この貯蓄率を守っていれば、老後の生活費は、たとえ100歳まで生きたとしても、2人で毎月約38万2000円を確保できます。
「A子さんひとりだったら、老後の生活費は毎月20万円なのに、結婚して2人になっても、老後に確保できる額は倍にならないのね」と思うかもしれません。
でも、2人になっても実際にかかる生活費は倍にはなりませんし、現役時代の生活費も平均月額約76万3000円と余裕があります。老後生活費率を下げることで必要貯蓄率も下げられるので、現役時代の生活に余裕が生まれるのです。
支払いの中でも大きいのは、家賃と食費。2人で暮らし始めた時に、独身時代とあまり変わらない家賃の部屋に住めば、一方の家賃分を毎月貯蓄できますし、特に男性の場合、外食が減ることで支出が減るのです。
現実に、結婚してから貯金額が大幅に増えたご夫婦はたくさんいらっしゃいます。