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LINEとみずほの「ネット銀行設立」はメガバンクの変革を起こすか

もしも中途半端のままなら…
高橋 克英 プロフィール

三菱UFJも三井住友も抱く「危機感」

デジタル化の進展や異業種の進出に危機感を抱きながら対応しているのは、みずほだけではない。同じくメガバンクであるMUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)とSMBCグループも同様だ。

三菱UFJ銀行と三井住友銀行によるATM共通化の発表はその象徴だ。長年ライバル同士の両行が、来年中にも重複するATMを500~600か所削減するとともに、残る相互のATM約2,300か所で引き出し手数料を無料化するという。ネット銀行やスマホ証券の登場、コンビニATMとの競争、キャッシュレス化の進展などで、メガバンクでさえ、ATMや店舗などが重荷になっているということだ。

その他にも、三菱UFJ銀行を有するMUFGでは、スマホアプリの機能充実、住宅ローン申し込みのデジタル化から、デジタル通貨「coin」(旧MUFGコイン)の開発、フィンテック新会社の設立と、メガバンクのなかでもみずほと同様にデジタル化戦略に積極的ながら、どれもまだ大きな成果もなく、今後も独自・独力で、巨大なデジタル・プラットフォーマーなど異業種と対峙できるのか、まさに正念場だ。

一方、三井住友銀行では、ネット銀行などへの対抗策として、ペーパーレスや印鑑レスなどデジタル化された次世代型店舗の全店展開を進めている。

その象徴であるGINZA SIXにある三井住友銀行銀座支店。白を基調にした近未来的な内装はインパクトがあり、業界関係者とみられる訪問は多いものの、普段は閑散としており、実際に、資産運用での成約などでどれだけ収益貢献してくのかは、これからが勝負だ。

 

メガバンクが「下請け」となる日

LINE Bank誕生により、デジタル・プラットフォーマーによる既存の銀行への攻勢が現実のものとなった。この先、いったい何が待っているのだろうか。

まず言えることは、メガバンクはじめ、既存の銀行は、余剰店舗と余剰人員を抱えた中での競合となり、圧倒的に不利な形勢だ。このため、メガバンクから地方銀行まで、多くの銀行が店舗統廃合や人員削減も進めている。しかし、その計画ペースは現在からの延長線上の生ぬるいものだ。

銀行業務がスマホやネットで完結するこれからの時代、デジタル・プラットフォーマーやスマホ銀行・スマホ証券の存在感が増幅するのは間違いない。メガバンクといえども単独で対抗していくのは困難かもしれない。

彼ら新興勢力には基本店舗がなく、余剰人員もない。テクノロジーや顧客基盤以上に実はそこが最大の強みだ。アマゾンやアップルといったデジタル・プラットフォーマーの本家本命も虎視眈々と銀行業務参入を狙っている。

ただ一方で、メガバンクには、信用力とブランド力が残されている。足元の業績が悪い訳でも、自己資本比率が低下し、不良債権が積み上がっている訳でもない。キャッシュレス化の進展に伴うQRコード決済やデジタル通貨での規格統一や、デジタルバンキングにおいて、メガバンク連合や銀行連合が構築出来れば、起死回生の逆転もありえるだろう。

メガバンクや既存の銀行は、みずほとLINEのようにデジタル・プラットフォーマーの台頭を受け入れて協調する路線を選ぶのか、それとも対抗するのか。いま大きな岐路に立たされていることを自覚するべきだ。中途半端のままでは、デジタル・プラットフォーマーの下請けとなってしまう日もそう遠くはないだろう。