前人未到の地に挑む成田緑夢の「金メダルを獲るための思考法」

僕と一緒に、ワクワクしませんか?

「夏冬のオリンピック・パラリンピック出場という、前人未到の目標に向かって挑戦したい」平昌五輪金メダリストの成田緑夢(なりた・ぐりむ)氏が明かす、金メダルを獲るための思考法とは――。

(取材・文/柳川悠二、撮影・村上庄吾)

過去に留まるのではなく

僕は1歳の頃から8歳上の兄(童夢)や6歳上の姉(今井メロ)と共に、父が運営していた「夢くらぶ」で、ウエイクボードやスノーボード、トランポリンに励んできました。父の厳しい指導のおかげで、体はとても丈夫になりました。

ただ、父の指導通りに体を動かせばよかったので、少し「自分で考える」ということが不足していました。頭脳の役割を担うICチップに、父がプログラムを打ち込んで、その通りに僕が動く、という感じでした。

 

兄と姉は共に06年のトリノオリンピックに出場しましたが、その直前に実家を離れています。兄や姉のトリノオリンピック後は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。そして僕も、5年前に怪我を負ったことを機に、19歳で父の元を離れました。埋め込まれていたICチップを自分で取り外して、自分自身の手で新たなICチップを作り、脳内に埋め込み、自分でプログラミングする。そうすることに決めたのです。

既に競技を引退している兄や姉とも連絡は取り合っていますが、兄姉に学んだものは人間(アスリート)形成において大きかったと思います。

提供:成田緑夢

オリンピックにさえ出られれば、人生の成功者になれると考えている人は多いと思うんです。しかし、現実はそう甘くはない。「オリンピック(パラリンピック)に一度出たぐらいでは、人生の成功者にはなれない」と身をもって教えてくれる人が身近にいたことは、自分の礎になっています。

平昌パラリンピックで金メダルを獲得したことで、多くの人に成田緑夢を知ってもらえました。そのうえ、紫綬褒章をいただきました。そのことはとても誇りに思っています。

しかし、人生を本当の意味で成功させる=ワクワクする人生を送るには、過去の栄光を見つめつづけることに留まるのではなく、これまで世界の誰も達成したことのないことを達成するような人になりたい――。

そういう発想から行き着いたのが、夏季と冬季のオリンピック・パラリンピック全大会出場なんです。