撮影:村上庄吾

成田緑夢が明かす「夏冬五輪・パラリンピック4大会制覇の夢」

「僕はいま、ワクワクしてるんです」

平昌パラリンピックの金メダリスト・成田緑夢(なりた・ぐりむ)が、今度は走高跳びで2020年の東京パラリンピック出場を目指す――そんなニュースが流れたのは昨年11月上旬のこと。わずか2年の準備期間で、夏のパラリンピックを目指す……というのも驚きだが、実は、本人にはもっと大きな野望があった。

「夏・冬のパラリンピック、オリンピックすべてに出場したいんです。障がいを持つものにしかできない、文字通り、前人未到の地を目指すチャレンジです」

思い付きでものを言っているわけではない。成田本人には、そのチャレンジを成し遂げるための信念と「メソッド」があるという。

「成田緑夢式・金メダルを獲る思考法」を前編後編にわたってお届けする。

(取材・文/柳川悠二、撮影・村上庄吾)

 

世界に一人もいないから

昨年(2018年)3月に開催された平昌パラリンピックの以前から、僕は自分自身に、あるミッションを課していました。

それは冬のパラリンピックとオリンピック、そして夏のパラリンピックとオリンピックの全4大会に出場することです。

過去に夏と冬のパラリンピック、あるいは夏と冬のオリンピックに出場したアスリートはいても、オリパラ全4大会を踏破したアスリートは世界にひとりもいません。だからこそ、チャレンジしたいのです。

2013年4月。トランポリンの練習中の事故で左足腓骨神経麻痺という障がいを負い、僕は、左足のヒザから下は現在も自分の意志で動かすことができません。

そんな僕でも、平昌パラリンピックのスノーボード・バンクドスラロームで金メダルを、スノーボードクロスで銅メダルを獲得することができました。みなさんに「成田緑夢」というパラリンピアンの存在は知っていただけたと思いますし、同じような障がいを持つ方や一般の方に少しは感動や勇気を届けられたかもしれません。

でもこれは、僕の挑戦の第一歩に過ぎないのです。目標の4分の1を達成しただけ。だからこそ、金メダルの12日後、スノーボード選手としては潔く「引退」し、次のステージに向かうことを表明しました。

目指すのはもちろん、再来年(2020年)に開催される東京オリンピックかパラリンピックです。

今、ワクワクしていますか?

僕の人生の目標は「常にワクワクし続けること」です。

「今、幸せですか?」

金メダルを獲ってからというもの、そのような質問を受ける機会が増えました。もちろん幸せは感じました。でも、僕はその質問に「イエス」と答えられる人生よりも、

「今、ワクワクしていますか?」

という問いに「イエス」と答え続けられる人生の方が、より幸せだと思っています。

有名になりたい。お金を稼ぎたい。大きな家に住みたい――そういった欲は、僕の背中を押してくれるものではありません。今の僕にとって、この世の誰も達成していないことに挑戦するのが最大の「ワクワク」です。だから、ワクワクし続けるために、夏冬のオリ・パラに出場する、と決めたのです。

オリンピックに一度出場するだけでも人生を賭けたチャレンジなのに、4つの五輪に出場するなんて不可能だ、と思う人もいるでしょう。確かに出場できるかどうかは分からない。けれど、僕がいま、ワクワクしていることは確かなんです。

今回は、オリパラ全4大会に出場するためのメソッド、いわば緑夢式思考法についてお話したいと思います。