トランプ大統領の米国内での孤立で、米中貿易戦争激化の可能性

中国は、そこを狙っている

米国内で、トランプ大統領の孤立感が高まっている。トランプ氏は、カナダ当局によるファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)の逮捕に介入して、中国から譲歩を引き出そうとしている。同氏にとってそれは、貿易戦争を有利に進めているという手柄を示すことにつながるだろう。

しかし、米国の政治家らは、その考えになびいていない。「大統領は介入してはならない」、「司法当局が捜査を主導しなければならない」と、トランプ氏の主張を真っ向から否定するものが目立つ。これは、米国の政治・世論がトランプ氏の意向とは異なる方向に向かい始めたことに他ならない。それが今後の世界経済にどう影響するか、冷静に考えるべきだ。

 

安全保障を重視する米国世論

12月に入り、米国にとって中国は、国家安全保障上の脅威であるとの論調が鮮明化している。ライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表が今後の対中交渉にあたるのはその一つだ。また、共和党・民主党内では、米国の安全保障のために中国が米国の知的財産や高機能の半導体を用いることをやめさせなければならないとの主張が強くなっている。

この考えが米中貿易戦争の根底にある。現在の国際社会において、大国同士の軍事的な衝突は避けなければならない。それは、米国も中国もわかっている。そのため、今後の世界経済を支えるとの期待を集めるIT先端分野が、米中の覇権争いの主戦場になってきた。米国にとって、貿易戦争の理由は経済・通商ではなく、安全保障だ。

中国が次世代通信規格である5Gを導入するためには、ファーウェイの技術力が欠かせない。世界的にも同社の通信機器はトップシェアを誇る。ファーウェイの成長は、中国の覇権強化に欠かせないのである。そのため、オバマ前政権時代から米国は、ファーウェイに対する監視を強めてきた。同社への捜査は、米国の安全保障を左右する問題だ。

米国は、イラン制裁への違反を理由にして、ファーウェイが米国の知的財産などを用いて競争力を高めることを食い止めたい。そのために、今回の副会長逮捕はまたとないチャンスだ。介入を仄めかすトランプ氏の考えを、「妨害行為に当たる」と批判する民主党議員もいるほど、米国の対中脅威論は強くなっている。

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