米国「景気後退」が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた

1ドル90円、日経平均15000円も
竹中 正治 プロフィール

次の米国の景気後退とともに

米国が2009年を底にした長い景気回復の最終局面に差し掛かっていることは、私が11月に参加した米国ワシントンDCでのエコノミスト会合でもほぼコンセンサスだった。

次の景気後退が始まるのが2019年か、それとも2020年頃かというタイミングだけの問題だ。

本稿では結論だけにとどめるが、米国の景気後退が始まるのは2020年頃の可能性が高いと私は考えている。ただし株価については景気後退が始まる数か月前から本格的な下落トレンドに入ることは珍しくない。

 

米国で景気後退が始まった場合、米国株価はどの程度その時の高値から下落するだろうか。1950年までさかのぼって景気回復期の高値から景気後退期にS&P500株価指数がどの程度下がるか見てみよう。

景気回復期の株価の高値から景気後退期の安値までの下落が10 回、さらに景気後退にはならなかったが、30%以上の下落が起こったことが2回(1987年と2002年)ある。

直近高値からの平均下落率は31%、下落率最大は57%(2007~09年)、最小は14%(1959~60年)である。

ドル円相場はどの程度まで円高に振れるだろうか。景気後退には至らなかったが、中国の景気急減速と株価急落が起こった「チャイナショック」の2015年後半~16年前半、ドル円相場は120円台前半から100円近辺まで円高に振れた。

それを参照して考えると、来年以降、米国の景気後退がはっきり見えて来た段階で前年比10%程度の円高は最低限覚悟すべきだろう。さらにFRBが金利の引き下げに動いてドル円の金利差が縮小すれば、1ドル90円かそれ以上の円高も自然な結果だろう。

仮に米国株が既述の通り1950年以降の平均30%前後の下落を起こすと想定すると、図2の関係から日本株の下落は直近の高値から40%前後は下がることを覚悟する必要があるだろう。

今年の日経平均の高値が24448円なので、40%の下落で14668円となる。私としては次期景気後退時に日本株の底値が日経平均で1万5000円前後までにとどまれば「上出来」だと思っている。

その水準を底値に次の2020年代の景気回復のサイクルでは日経平均で2万5000円の天井も越えて行くことが展望できるのではないだろうか。

長期投資を志向する個人投資家としては、その時に株式の買い増しができるように、今は株式保有の比率を下げて余裕資金を増やしておくべき時期だろう。