「つくつく防止」のシステム概要は以下の通りだ。
車両の前方および後方に2つずつ、超音波を利用した「ソナーセンサー」を装着。このソナーが、前後方3メートル以内にある障害物を検知する。
前後に障害物があるにもかかわらず、運転者がアクセルペダルを強く、速く踏み込んだ場合には、システムが「ペダルの踏み間違い」と判断。コントローラーが燃料の供給をカットすることでエンジンの出力を抑制してくれる。
あわせて、インパネ付近に取り付けられたインジケーターが点灯。ブザー音で運転者に警告を発し、クルマの急発進を抑制する仕組みとなっている。
また、ソナーセンサーは前後方の死角にある障害物を検知し、警告する「パーキングセンサー機能」も備えているので、バックで駐車する際にも重宝する。
実際に試乗してみると、「つくつく防止」の効果のほどがよくわかる。
前方に障害物がある状態で、思い切りアクセルペダルを踏み込んでみる。一般的なクルマであれば、そのまま急発進し、激しく障害物にぶつかってしまうところだが、「つくつく防止」搭載車であればそんな事態は起こらない。
とっさの踏み間違いによりアクセルをベタ踏みしたとしても、クルマはクリープ走行程度のゆっくりした速度でわずかに進むのみ。すぐにインジケーターが点灯し、ブザーが大きな音で警報を鳴らしてくれるので、運転者はペダルを踏み間違えたことに気づくことができるのだ。
これなら、駐車場からバックでクルマを出そうとしたものの、シフトレバーがDレンジに入っていることに気づき、あわててブレーキを踏んだつもりが誤ってアクセルを踏み込んでしまった――といった場合でも、落ち着いて安全にペダルを踏み直すことができるだろう。
このように、「つくつく防止」はシンプルな部品構成ながら、うっかりペダルを踏み間違えたことによる急発進を抑制してくれるスグレモノなのだ。
開発にあたっては「後付け装置」ならではの苦労があったと、松崎氏は明かす。
「新車を作るのであれば、安全装置を搭載するためにデザインそのものを変更することもできます。しかし、後付け装置の場合は、クルマのデザインを変えることはできません。車種によって、ボディやバンパーの形状がそれぞれ違う状況で、どこにソナーを取り付けるのが最適なのか、室内のどこにインジケーターを置けば見やすいのか、何度も何度もトライ&エラーを繰り返していきました。
また、後付け装置の対象となる経年車は、一台一台、クルマの状態が異なります。どんな状態のクルマでも確実に取り付け、作動確認を徹底できるような部品構成にしなければならない。その点も開発においては苦労しましたね」
少しでも多くのドライバーに安全・安心を届けたい。そんなダイハツの思いが結実した製品が「つくつく防止」なのである。