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# マーケティング

なぜアマゾンはキンドルを破格の「7980円」で売れるのか

秘密は「レーザーブレード・モデル」
「商売の本質は、こちらが何を売りたいかではなく、お客様の目線に立つことである」。そう断言するのは、著書『売上がぐいぐい伸びるお客様の動かし方』で知られるマーケティングコンサルタント、理央周氏だ。理央氏はアマゾンの電子書籍リーダー「Kindle」が、1万円以下という破格の安さで販売されていることに注目。そこにはアマゾンの狙いがあると指摘する。どんな商品にも応用できるこの手法について、教えてもらった。

「売り方」に革命を起こせ

『アマゾン』の電子書籍リーダー「Kindle」は、1万円を切るモデルもあり、タブレットとしては破格の安さです。キャンペーンの時には5000円以下になることもありますし、スマホのアプリにいたっては無料です。
広告付きのベーシックなモデルは7980円で売られています(2018年時点)

なぜ、こんなに安く販売できるかと言うと、アマゾンが売りたいのはソフト、つまりコンテンツだからです。Kindleを買ってもらった後は、電子書籍を継続購入してもらえればいいのです。

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このようなビジネスモデルの企業はたくさんあります。たとえば、お菓子の『江崎グリコ』が展開する「オフィスグリコ」は、オフィスにグリコのお菓子が入ったボックスを無料で設置し、食べた分だけ代金を払ってもらうものです。

定期的にグリコのスタッフが訪問し、代金回収や商品の補充などを行います。考え方としては自動販売機やウォーターサーバー、富山の置き薬などと似ています。プリンターとインクの関係、ネスカフェのアンバサダーも同様です。

このようなビジネスモデルを「レーザーブレード・モデル」(または「ジレット・モデル」)と呼びます。ジレット社の使い捨てカミソリ本体を買うと、消耗品の替え刃はジレット社のものしか合わないので、ずっと購入してもらえます。そのため、本体価格はギリギリまで抑えて、替え刃で利益を継続的に得ようとする仕組みです。

 

昔からあるビジネスモデルですが、オフィスグリコが登場した時にはマスコミも盛んに取り上げるなど、驚きを持って受け止められました。

理由はいくつかありますが、一つはお菓子の金額を100円均一にしたこともあります。代金回収を容易にするためでしょうが、もともと100円ではないお菓子もあるので、100円に合わせて量を調整したり、パッケージを工夫したりしたはずです。

もっと大きいのは、売り方にイノベーションを起こしたことです。「お菓子はスーパーやコンビニで買うもの」と、多くの人が長年思い込んでいました。その思い込みを捨ててオフィス内でお菓子を買える仕組みを作り、お客様に「気軽に買える」「時短になる」などの新しい価値を提供したと言えます。

このような思い込みは多くの企業、多くの商品で存在しているはずです。自社の強みを再定義して、お客様がどこに価値を感じるかをじっくり考え直し、新しいレーザーブレード・モデルを発想しましょう。