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保阪尚希さん語る「大ヒット商品を非常識なパッケージで売ったワケ」

とことん、お客さんのことを考えた
保阪 尚希 プロフィール

「実店舗」は持たない

通販事業に至るまでに、カレー屋やラーメン屋、イタリアン、洋食などの実店舗をプロデュースしてくれという話はいっぱいありましたが、全部お断りしました。ただ、どうしてもカレーのルーを僕に決めてほしいというカレー屋だけは、僕の名前を隠してやったことがあります。

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飲食の実店舗をやらないのは、「管理ができない」という単純な理由からです。味の管理はもちろん、食中毒を出さないような衛生上の管理まで責任を持ってできません。仲間で信用できる人がいたら、やっても面白いなとは思います。

ただ、お店の場合は、その場所に来てもらわないと商品を提供できません。そうすると、あまりに狭い世界になり、僕のやりたいこととちょっと違ってきます。そこまで来てくれるお客さんは、僕の考えを知っているような、すでに健康志向・意識が高くて、行動力も情報収集能力もある人だと思います。

言い方は悪いのですが、出不精で、家でゴロゴロしているような人にこそ「保阪流」を伝えたいのです。家から全然出なくて、自己管理が苦手な、まさにテレビショッピングの主な視聴者となる人たちです。

実店舗と、テレビというツールを使った通販では客層が全然違います。しかも面白いことに、同じテレビといっても、地上波のテレビ通販と、BSやCSのテレビ通販では特徴がまったく違います。

例えば、地上波のバラエティ番組やテレビ通販で何か商品が話題になったとすると、インターネットと連動して、ネットでワッと売れます。

一方、BSなどのショップチャンネルやQVC、ジャパネットたかた、ショップジャパンなどのテレビ通販でワッと売れても、まったくインターネットと連動しません。つまり、最初から視聴者層、客層が違うわけです。

 

そういう意味では、僕がいまQVCさんを主戦場としてやっているのは、そこに自分がターゲットとしている客層がいるということにほかなりません。

健康グッズであれば、地上波のバラエティなどでやれば、とにかくいろんな人たちが見てくれるという意味では効果的だと思います。

ですが、家族や子どもたちにご飯を作って出すような人たちに健康のことを伝えたいと思えば、そうした人たちが多く見ているQVCなどのテレビショッピングのチャンネルが最適です。そうしたところから「保阪流」の健康というものを刷り込んでいきたいという思いがあります。

ちなみに、そういう考えではなく、「美味しいものをみんなに食べさせたい」という思いが強いなら、実店舗がいいかもしれません。すごく貴重な美味しい肉が手に入った、それを提供したいけど生でなければ提供できない……そんな場合は、実店舗でなければ無理でしょう。

しかし、それをビジネスとしてやるとなった場合、僕なら365日24時間、休みなしでやらなければいけないと思います。なぜなら、食べたい人がいるのに、今日は定休日で食べられませんというのはこちらの都合ですから、それはいけないと思うからです。

まぁ24時間は言い過ぎだとしても、365日、僕は管理できません。たぶん、1店舗だけではビジネスにならないので拡大したいと思っても、それは尚更無理。僕の目が届かなくなると、味が落ちたりとか、食中毒が起きたり、さまざまなサービス面の低下が起きかねないので、なかなか難しいところです。