物件選びでまず重要なのが「立地」である。
というより「資産性のあるなしはすべて立地で決まる」と言っても過言ではない。
物件の真の価値は、自分では「変えられない」あるいは「変えにくい」ものにこそある。典型的なものがその物件がある街だ。不動産は動かせないから立地は決定的に重要になる。
一言で立地といっても、「地域」「利便性」「環境」等、立地の良し悪しを決める要素はいくつかある。
まず「地域」という点から見ていくと、首都圏であれば23区内であることは大前提で、さらに「山手線から離れていない区」を選ぶのが鉄則だ。
お勧めは港区、千代田区、中央区の「都心3区」である。「港区○○」や「中央区○○」という地名にはそれだけでプレミアムがつく。
実際はモノレールで通勤するしかない湾岸エリアの外れにあるマンションでも、港区というだけで高値がつくのだ。不動産市場では「腐っても港区」なのである。
さらに資産性という面からは区の下のアドレスも絶対的に重要となる。これについては街のイメージがポイントだ。独身女性がうらやましがるような、不動産市場で人気の街を選ぶこと。
単身の場合はそれに加え、より職場に近づくような地域を選ぶべきだ。
都心に近い地域ほど経年による値下がり率が低いという統計的事実に加え、職場に近ければ通勤時間の圧縮につながるという利点がある。
ハーバード大学の研究プロジェクト「Buying time promotes happiness」などでも、「時間を買うと幸福感が上がる」という結果が報告されている。住職接近は幸せへの近道なのだ。東京圏では特にそれが言えるだろう。通勤ラッシュからの解放こそ、生活の質の向上そのものといえる。
「利便性」という観点からは、やはり「駅近」が条件となる。具体的には「最寄り駅から徒歩4分以内」が目標だ。
住まいサーフィンの調査では、駅から徒歩4分以内の1LDKのマンションは中古市場で価格が下がりにくくなっている。徒歩4分を上回ると、その時間数に比例して価格の下落率も高くなるという現実があるのだ。
とりわけ最近は日常の買い物を徒歩で済ませられる「車を使わないで済む立地」の人気が高い。
若い世代には「これからの時代、都区内では車はカーシェアで十分。駐車場代や自動車税など車の維持費は無駄なコスト」と考える人が増えているし、最近の分譲マンションの重要な買い手である高齢者層も、体力や認知機能の衰えからできれば車の運転はしないで済ませたいと考える人が多く、それが公共交通機関へのアクセス重視の流れを生んでいる。
都心・駅近の1LDKのマンションであれば、高く売れる。現実にも中古価格が高騰しているし、今後も確実に需要が見込める。
逆に23区外でしかも駅から4分以上の場合、都心と駅から離れれば離れるほど経年による価格下落率が大きくなる。
若い人が初めて家を買う場合、得てして「安いから」という理由でそうした物件に手を出しがちだ。だがそんな家を買ったら最後、二度とそこから出られなくなることが多い。急速な資産価値の下落によって、家の市場価格がローンの残債を下回る状態になってしまうからだ。
家の価値がローンの残債を下回ると、家を売ってもローンを返せず、「家はなくなり借金だけが残る」ことになる。住宅ローンを払い続けて貯金がほとんどない人がそうした事態に陥ったら、悲惨というしかない。そうならないためには、ローン返済が終わるまで買った家に住み続ける他はない。