イラスト:山田一喜
# 文学

どん底から這い上がり…『路傍の石』は「20世紀の少年マガジン」だ

友情、努力、努力、そして努力で勝利

『君たちはどう生きるか』はなぜ売れたのか

2017年、『君たちはどう生きるか』という本が大変売れました。

我々の世代はビックリしました。今の人には説教臭くないのかなと思ったのです。タイトルが今の30代、40代には響いたのかもしれません。『君たちはどう生きるべきなのか』に聞こえたのでしょう。やっぱり人って、何か指針のようなものを他人から言われたいのでしょう。

 

たぶん、いま45歳以上の人たちは、中学校で夏休みの感想文を書く時に課題図書とか推薦図書というプリントを先生にもらったと思います。この本は課題図書の定番中の定番でありました。

『君たちはどう生きるか』の主人公コペル君は、親友たちが上級生にイジメらているのに逃げてしまいます。そのことに苦悶します。結果的には謝罪して友情が深まるという話です。

私も途中まで読んだことがあります。何故途中かと言いますと、読んでいるうちに小学校の同級生の山田君(仮名)を思い出して嫌な気分になり、読むのが辛くなってしまうのです。

エリート山田君の非情

小学校5年生の時のクラスメートでした。山田君は格好がよくて運動神経もよく背も高い。しかも成績がいいのです。たしか5段階評価で4と5しかなかったはずです。クラスでも人気がありました。両親は小学校の先生でした。つまり両親とも大卒です。これは私のような田舎では相当なエリートでありました。

ある時、空き地で山田君も含めて同級生4人と遊んでおりました。
そこに、「お前ら何してんだよ」とやってきたのは近所の3人の不良中学生です。みんなで遊んでいたのを邪魔するわけです。カッと来ましたが、10歳と13歳では体格が全く違うのです。非常に怖いのです。

すると横にいた山田君が私にささやきいたのです。

「石井、やっちまおうぜ」
「えっ!?」
「オレが肩をたたいたら突撃な」
「わかった」

突然山田君が私の肩をポンと叩きました。そのまま突撃です。
(あれ、おかしい。なんで俺一人なんだ)
ボコボコに殴られている時、チラッと後ろを見たら、ダッシュで逃げていく山田君の後ろ姿が見えました。「山田は卑怯者」とわかった瞬間であります。

翌日小学校に行ってみると、もう事件は伝わっておりました。山田君は私と眼があっても知らんぷりしています。
「お前、昨日逃げたよな」

そういうとさっと逃げてしまいます。とうとう謝りません。だんだんいろいろなことが分かってきます。私の頃は「殴る、蹴る」先生、つまり体罰系の教師が結構いたのですが、山田君だけは殴られませんでした。両親が教師だったのでかなり優遇されていたのです。