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トランプがプーチンにあげようとした「56億円マンション」の意味

最高権力者の「化かし合い」の裏側

重要証言が出た

ドナルド・トランプ米大統領の元顧問弁護士を務めたマイケル・コーエン被告が、ニューヨーク連邦地裁で米議会に対して虚偽証言をしていた罪を認めました。

コーエン被告は以前、トランプ大統領が経営していた不動産会社が、モスクワで手がけていたビル「トランプ・タワー・モスクワ」建設事業の交渉について、「2016年1月で打ち切った」と米議会に証言していました。ところが、ここにきてコーエン被告は、交渉を同年6月まで継続していたことを認めたのです。

 

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に向けて出発する1時間前にこのニュースが報道されると、トランプ大統領はG20で予定されていた米ロ首脳会談を即座にキャンセルしました。ホワイトハウスは、「ロシアによるウクライナ海軍の艦船拿捕が理由である」としましたが、それは表向きの理由にすぎません。トランプ大統領にとっては、それほどの重大事だったのです。

モスクワのトランプ・タワー建設計画、いわゆる「ロシア・プロジェクト」の時期に関するこのコーエン被告の証言には、重大な意味が含まれています。コーエン被告が述べた「2016年1月」という日付には、どのような意味が込められていたのでしょうか。

トランプ大統領の元顧問弁護士を務めたマイケル・コーエン氏(Photo by gettyimages)

2016年の米大統領選挙を振り返ると、共和党の大統領候補指名争いは、同年1月から中西部アイオワ州で始まりました。当時、保守派の大統領候補であったトランプ氏にとって、選挙期間中にロシア当局と「トランプ・タワー・モスクワ」建設交渉を並行して行っていたことが明らかになれば、かなりのマイナス要因になったはずです。

共和党内では、反ロシア派が支配的です。2012年の米大統領選挙において共和党候補になった、マサチューセッツ州元知事で、来年1月からはユタ州の上院議員になるミット・ロムニー氏は、対ロシア強硬派です。また2008年の共和党大統領候補で、今年8月に亡くなった同党の重鎮ジョン・マケイン元上院議員(アリゾナ州)も、ロシアには厳しい態度をとっていました。

トランプ候補は、党内からの反発を回避するために、一族が経営する複合企業「トランプ・オーガニゼーション」とロシア当局との間で進めていた「トランプ・タワー・モスクワ」建設の交渉が、大統領候補指名争いが本格化する前に終了した、という誤った印象を意図的に与えようとしたのでしょう。