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大塚英樹が明治安田生命社長に迫る! 「四方よし!」の経営哲学とは

根岸秋男社長「お客様が評価者である」
大塚英樹

保険数理士から営業に転出、営業所長へ

契約は始まりに過ぎない──。  

根岸の〝アフターフォロー〟への強い思い入れは、今に始まったわけではない。

1994年、アクチュアリー(保険数理士)から営業に転出、営業所長になって以来ずっとこだわり続けてきた。

きっかけは、営業職員に売る力をつけさせるため、毎朝、商品や商品の売り方を長時間説明していた根岸に対してぶつけてきた、ある営業職員の言葉だった。

 

「あなたは私たちの後ろしか見ていない。所長は私たちがお客さんのところでどれだけどのような苦労をしているか、わかりますか。私たちの後ろからではなく、営業職員とお客さんの間に立って指導してください」  

根岸は衝撃を受けた

営業職員の活動の7割は顧客を見つけて、仲良くなることだった。

ところが、指導者は残りの3割の〝売り〟の部分、つまり顧客ニーズの喚起とプラニング・ソリューションの提供から、納得してもらうまでの過程しか見ていなかった。

そのことを新たに発見した根岸は営業職員と一緒に顧客回りをしながら「7割の苦労を無駄にしないためには契約いただいたお客様に満足していただくことだ。アフターフォローこそがお客様満足度を高めるキーポイントだ」と確信していった。  

保険は、見直しを前提にしたものであるべきだ。ならば、見直しが自在のアフターフォローに焦点を当てた保険を作ろう──。  

その後、商品課長に就いた根岸は、満を持して保障の見直しが自在にできる「ライフアカウントL.A.」(L.A.)を開発する。L.A.は大ヒットした。  

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しかし、数年後販売の勢いは減速する。

根岸が予想した通り、いくらよい商品を開発しても、それを売る営業職員たちの評価や営業職員たちを指導する人たちの評価、さらに業務推進の在り方などを総合的に見直さない限り、限界があった

根岸はのちの再生計画に繋がる問題意識をすでに有していた。

根岸が本格改革に着手するのは、営業企画部長のときだ。まず、比例給中心から固定給中心の給与制度に変えるなど個人営業改革を行う。

その結果、営業職員は顧客へのフォローに注力するようになった。  

その後、根岸は事務サービス企画部担当執行役となり、事務サービスを改革する。

IT(情報技術)化で紙も、顧客との現金授受も、7割減らす計画を実行した。

発想の原点は「顧客満足」にあった。顧客の利便性、手続きの正確性への追求から生まれた発想だった。きっかけは、東日本大震災だ。

「震災のとき、うちの営業の現場はどこよりも早く、正確に、親切に安否確認と支払い手続きを実行してくれた。営業職員こそがうちの強みと確信しました。強みを生かすには事務周りを最先端のITで革新し、アフターフォローで勝負を賭けようと決心したのです」  

そうした根岸の信念は固く、2014年には長期にわたり顧客1人ひとりに合わせた「アフターフォロー」を具現化した新主力商品「ベストスタイル」を開発している。