成長する企業の経営者に共通するのは、自分の理念やビジョンを自分の言葉で、粘り強く、繰り返し、繰り返し伝え続けていることだ。
根岸も、愚直に理念を自分の言葉で語り続けている。
根岸は社長になるとまず、経営ビジョン「NEXTチャレンジ──感動を生み出す生命保険会社へ」を示す。
その意味は、まさに自らの改革への理念、戦略を社員に向けて自らの言葉でわかりやすい形でまとめて示すことにある。
その策定は根岸が自らの思いを語り、企画部門がそれをまとめる形で行われた。根岸は2013年秋にこの構想を示した後、全国の支社を回り、理念、ビジョンを語る伝道を行っている。
経営ビジョンの肝は、「明治安田生命=アフターフォロー」の企業イメージを浸透させるブランド戦略にあった。
そして根岸は、2017年4月、経営理念、企業ビジョンを一新し、「明治安田フィロソフィー」を策定する。
経営理念は「確かな安心を、いつまでも」、企業ビジョンは、「信頼を得て選ばれ続ける、人にやさしい生命保険会社」とした。
さらに、2017年4月から開始した3ヵ年プログラム計画「MYイノベーション2020」では、「成長戦略」「経営基盤戦略」「ブランド戦略」を推進、企業価値の向上を目指している。
同時に、従業員の主体的行動を促して風土醸成を図る「企業ビジョン実現プロジェクト」を立ち上げている。
根岸は社員に訴える。
「生命保険は、社会保障制度を補完する重要な役割を担っている。何百万という数の保険契約の1件1件が、そのご家族の愛や想いがこもった命綱に他ならない。このような、お客様1人ひとりの想いを肌で感じ、生命保険に携わる者としての強い使命感を持って、自身の仕事に向き合って欲しい」
「お客様との絆を大切にし、『思いやり』の気持ちを高め合う。そして、地域社会との絆を大切にし、地域愛にあふれる、働く仲間との絆を大切にし、多様な発想を支え励ましあえる、そんな企業風土を創造しよう」
「お客様の人生に寄り添い、安心と安心感を提供して、より豊かな生活をサポートしている私たちのビジネスの社会的評価を一層高めていかなければなりません。その実現に向けての軌道を作っていきたい」等々。