アイドル自殺事件で救済に立ち上がったリーガルファンディングとは何か

187万円を集めた

「アイドルブームの闇」

ご当地アイドルや地下アイドルが、ユーチューブやインスタグラムといったネット環境などを利用、活躍の場を広げるなか、今年3月に発生した愛媛県を拠点とする「愛の葉Girls(えのはガールズ)」のリーダー・大本萌景さんの自殺は、「アイドルブームの闇」を照らすものとして注目を集めた。

「歌って踊って耕して」という農業支援のアイドルとして、ライブや物販のイベントをこなし、充実した毎日を送っていたハズの16歳の少女が自ら命を絶ったことは痛ましい。背景には何があったのか。

 

自殺から7カ月後の10月12日、萌景さんの母・幸栄さん(42)など遺族が、原因は萌景さんが所属していた芸能事務所・hプロジェクト(愛媛県松山市)の「ブラックな労働環境、社員のパワハラ、社長の学校と芸能活動の両立阻害」などにあるとして、損害賠償請求訴訟を起こした。請求金額は約9200万円である。

幸栄さんは萌景さんの姉の可穂さん(19)などと記者会見を開き、ワイドショーなどメディアの個別取材にも応じ、「自死の状況」などを切々と語ったが、「心の闇」には親といえども入っていけない領域があり、提訴には「死の原因を探りたい」という気持ちも込められていた。公判は、東京地裁で来年1月から始まる。

1万人以上はいるというアイドル及びアイドル予備軍は、いずれも劣悪な労働環境のなか、権利関係も擁護もされていないとして、昨年、若手弁護士が中心となり「芸能人・アイドル駆け込み寺」の日本エンターテイナーライツ協会が設立されるなど、見直し機運が生まれつつある。

萌景さんの裁判は、そうした現状を裁くことにもなるが、一方で、メディアやSNSを通じた情報発信が、hプロ攻撃に回るのは、被告という立場を考えれば仕方がないとしても、報道に接していた私に、多少の違和感があったのは事実である。

例えば、「自殺の前日、通信制から全日制の高校に転学する費用12万円を、佐々木貴浩hプロ社長が断った」という件。拒絶によって心に負った傷は大きかっただろうが、おカネを含め、家族でケアは出来なかったのか、といった点についてはもう少し実情を知りたいと思った。

また、この裁判が一般社団法人リーガルファンディングの第一号案件であり、同法人のホームページなどで大きく採り上げられているのも気になった。新規の弁護士ビジネスとして、国民の耳目を引きやすい本件が選ばれたのではないか。

リーガルファンディングのホームページには、12月12日の時点で、369名が賛同して支援金を拠出、その金額が187万7777円に到達したことを告げている。

裁判を起こし、正当な権利を要求、金銭や謝罪を求めるにもカネが要る。「法の世界もカネ次第」であるのは、冷徹な事実である。そこに、「国民的共感」を背景に、法定費用を調達する手段が生まれるのは望ましく、意義も意味もある。

だが、その第一号が本件であるのは、話題性を優先させたものではないか、という感もある。実際、反響は大きく、hプロは公判が始まる前から猛烈なバッシングにさらされた。佐々木社長は、そこが納得いかない、という。

「事実関係に争いがある民事訴訟で、お母さん側の言い分のみが、メディアを通じて幅広く流され、我々の名誉や信用は大きく毀損、経済的なダメージも受けました」

佐々木社長は裁判でなにを語るのだろうか。

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