日テレが失速したのは、「あの番組の打ち切り」が原因かもしれない

視聴率の裏にある「変化」を読む
高堀 冬彦 プロフィール

戦略ミス…?

一方の日テレは、自分たちの戦略を疑ったことなどなかっただろう。年配層ばかりが見る「火サス」は要らない、ネット配信時代になりつつあるのだから著作権はすべて自社が持つべきだ……。こうした考え方は、ビジネス的には理にかなっていたように見える。だが、日テレが読み違えたであろう部分もある。見てもらいたい若者たちのテレビ離れだ。

日テレが現在、「ドロ刑-警視庁捜査三課-」を放送中の土曜午後10時台、「今日から俺は!!」の日曜午後10時30分からの1時間枠は、アイドルを出演陣に起用したり、漫画を原作とする作品が目立ったりするなど、明らかに若者をコアのターゲットにしている。「獣になれない私たち」の水曜10時台も若い女性を意識した作品が多い。

だが、多くの若者はそもそもテレビそのものにソッポを向いてしまったのである。

 

総務省が2018年7月、情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成29年(2017年) 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、テレビを平日にリアルタイム(生)で見ている時間は、全体だと平均で159.4分。2時間半以上である。60代だと252.9分、50代は202分、40代も全体平均値に近い150.3分見ている。ところが、20代は91.8分、10代に至っては73.3分しか見ていない。

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2013年の調査では10代が102.9分、20代が121.2分だったのだから、若者のテレビ離れは急ピッチで進んでおり、しかも決定的と言わざるを得ない。「火サス」が打ち切られた2005年とは、テレビを取り巻く環境が激変してしまったのだ。

たとえ直接的な利益が薄かろうが、2時間ドラマと大人向けの連ドラを重んじ、そのノウハウを引き継いできたテレ朝が視聴率争いにおいて優位に立ちつつあるのは必然のことだろう。

「火サス」を捨ててから13年。日テレがドラマのターゲットを大人にシフトした時、一度縁のなくなった俳優や制作会社を呼び戻すのは簡単ではないだろう。著作権の問題もある。局内に大人向けドラマをつくるノウハウが残されているのかどうかも疑問だ。

日テレは、大人の視聴者に惜しまれつつ打ち切られた「火サス」に復讐されているのかもしれない。