日テレが失速したのは、「あの番組の打ち切り」が原因かもしれない

視聴率の裏にある「変化」を読む
高堀 冬彦 プロフィール

では、なぜ「火サス」が打ち切られたのかというと、視聴率が漸減したこともあったが、当時の日テレ関係者が口を揃えたのは「制作費が高い」「視聴者層の年齢が高い」ということだった。スポンサーは視聴者層が若いほうが喜ぶ。それは購買意欲が高いからである。若者が見る番組があると、局側はCM枠を高値で売りやすくなる。

逆に、年配層は財布の紐をなかなか緩めないので、スポンサーにはあまり歓迎されない。民放がF1層(20歳から34歳までの女性)、M1層(同じく男性)の視聴者獲得に躍起になるのは、このためである。

一方、1977年に90分枠で始まり、のちに2時間化されたテレ朝の「土曜ワイド劇場」も2017年3月に終了した。だが、テレ朝と日テレの方針は違った。俳優、制作会社とのパイプ維持も理由に、テレ朝は翌4月から日曜の午前帯に「日曜ワイド」という2時間ドラマ枠を設けたのだ。

それも2018年3月で終わったが、代わりに翌4月からは同じ日曜の午後9時台に「日曜プライム」という2時間枠をつくり、現在も放送中だ。ここではバラエティーや映画を流すこともあるものの、2時間ドラマも用意している。テレ朝は2時間ドラマを捨てていないのである。無論、視聴率的なプラス面も考えてのことだろうが、俳優や制作会社とのパイプも考慮しているに違いない。

 

日テレの誤算

テレ朝が大人向けの連ドラづくりに強い理由は2時間ドラマがあるからだけではない。「相棒season17」と「科捜研の女」は東映との共同制作であり、権利も権限もテレ朝と東映で分け合っている。「リーガルV」はテレ朝の単独制作の形だが、制作協力している老舗の制作会社「ザ・ワークス」のスタッフ3人にプロデューサーを任せている。

この作品のエグゼクティブプロデューサーとプロデューサーは計6人なので、半分がザ・ワークスのスタッフということに。権限を大きく委譲しているのだ。

一方の日テレはというと、まるで対照的で、ドラマのみならず全番組の制作を単独でしている。著作権もすべて持つ。つまり、全権利を日テレが持っているのだ。「火サス」を含め、2000年代までの番組の制作や権利は制作会社と権利を分け合っていたが、ネット配信時代の到来を睨み、自社が番組の二次利用を自由に扱えるようにするため、制作・著作を自社にしたのである。

これにより、制作会社にとっては、日テレは旨味の乏しい会社になってしまった。特に二次利用料の大きいドラマ部門がそうだ。日テレのドラマにおいて制作会社がはたす役割は、制作協力のみ。制作会社とのパイプが細くなったように映るのは、2時間ドラマが消えたことだけが理由ではない。

また、「土曜ワイド」からは2000年、「相棒」が生まれた。ほかにも、現在はシリーズ化されている「警視庁・捜査一課長」などの連ドラが誕生した。テレ朝にとって2時間ドラマ枠は優良連ドラをつくる場にもなっていた。現在の「日曜プライム」は「遺留捜査スペシャル」など過去の連ドラの特別編を放送し、俳優と制作会社、そして視聴者を繋ぎ止める役割をはたしている。