日テレが失速したのは、「あの番組の打ち切り」が原因かもしれない

視聴率の裏にある「変化」を読む
高堀 冬彦 プロフィール

いったいなぜ…?

テレ朝の場合、プライム帯で現在放送中の「リーガルV」「相棒season17」「科捜研の女」はいずれも好調。それぞれ12月10日現在の平均視聴率は15.4%、同じく15.4%、12.2%。現在の視聴率事情を鑑みると、堂々の成績である(文中の視聴率はいずれもビデオリサーチ調べの関東地区の数値に基づく)。

一方、日テレもプライム帯で3作の連ドラを放送しているのだが(「今日から俺は!!」はプライム帯の日曜午後10時半からプライム帯外の同11時25分まで)、いずれの平均視聴率も合格水準とされる10%台に満たない。「獣になれない私たち」は8.7%、「ドロ刑-警視庁捜査三課-」も8.7%、「今日から俺は!!」は9.6%にとどまっている。

 

これはなにも現在に限った話ではない。日テレは2018年のプライム帯の連ドラにおいて、1作品たりとも平均視聴率10%を達成できていないのである。だから、「深刻」と言うほかないのだ。

2018年1月期(1月~3月)の水曜午後10時台に放送された「anone」に至っては、平均視聴率6.1%に終わった。内容の良し悪しは別とし、視聴率的には大失敗と言わざるを得ない。

ドラマも映画も演劇も制作において大切な順に「1に脚本、2に役者、演出は3番目」とよく言われるが、「anone」の脚本は当代屈指の実力者に違いない坂元裕二氏(51)が書いた。主演は人気の広瀬すず(20)。演技力についても主演映画「ちはやふる」(2016年)などで各演技賞を得ており、若手とはいえ、未熟とは言えないだろう。

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となると、3番目の「演出を含めた制作側」に問題があるように思えてならない。脚本家に適切にリードできるかどうかも含めてである。

「anone」以降、どの作品も平均視聴率が10%に届かないのだから、やはり制作陣に問題があると思われても仕方がない。前述したワイドショー・情報部門、バラエティー部門と違い、制作体制が整っていないのではないか。

連続ドラマ部門において、安定した視聴率を得ているテレ朝と、不振が続く日テレの違いは何か? それを考えていくと、2005年の「火曜サスペンス劇場(火サス)」の打ち切りに行き着く。日テレにとって、結果的に大きな痛手となったに違いない。

1981年にスタートした「火サス」は大人向けの作品を1話完結で流す2時間ドラマだった。安定した視聴率を記録し、質についても評判高かった。演出陣として、中島貞夫氏や村川透氏、中村幻児氏、森崎東氏ら映画界の名匠まで参加していたのだから、当然のことだろう。

実際にドラマをつくっていた制作会社も巨匠・故進藤兼人らが興した近代映画協会や東映、松竹京都映画、大映テレビ、テレパックなどで、充実していた。

ところが現在、列記した制作会社はいずれも日テレのドラマに関わっていない。「火サス」の打ち切りにより、日テレは俳優や脚本家、ドラマ制作会社などとのパイプを細くしてしまったように映る。特に、大人向けのドラマをつくるための外部協力者が縁遠くなってしまった。「火サス」終了以降、日テレと付き合いがなくなった俳優、制作会社は数え切れないという。

近年、日テレではまったく見ない「相棒」の水谷豊(66)も、「火サス」があったころには「浅見光彦ミステリーシリーズ」や「地方記者・立花陽介シリーズ」などに登場していたのである。日テレが「相棒」のような連ドラをつくれる可能性も十分あったのだ。